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いつも迷惑かけてくる人もどこかで誰かに迷惑かけられていたりする(夏油) ページ26

Aは死んだような目をしていた。

任務から帰ってきて車に乗り込んだ途端、Aは助手席から両腕でホールドされていた。
それを完全に無視して鬱陶しそうに運転しているAはすごい。

「さっきの冗談だったんだよね??幽霊なんていないんだよね??」
「あ、なんか肩乗ってんぞ」
「お”ぉぉおお”おおおいい!!!」

Aの悪い顔がバックミラー越しに見えた。
溜まった鬱憤晴らしてるな、これは。

「ほんと、幽霊だけは昔から苦手だよな」
「苦手じゃねぇし?!別にビビってなんかねぇし?!?!」
「手汗をなすりつけるな。あ、窓の外に白い服の女が」
「ギャァァァアアアア!!!!」

車が大きく揺れる。とてつもなくうるさい。
Aは完全に銀髪の男で遊んでいた。

「トゥルルルル、トゥルルルル。トゥルルルルルッルトゥルルルル」
「ちょっとやめてくんない?!その鼻歌!!」
「馬鹿だろ」
「馬鹿だね」

その声は幸いビビり散らかしている銀髪の男の耳には入っていなかった。

「ほら、着いたから離せ。そして降りろ」

到着したのは、色々な店が立ち並ぶ複合施設。
和装の銀髪の男はなかなかに目立った。

「すまんな、お前らまで付き合わせて」
「いつも有無も言わさず付き合わせてんだろうが」
「今更だね」
「そうだったかー?思い出せないなー」
「ごまかす気ねぇだろ」

いつもと違うのはAに銀髪の男、がべったりだというところだけだ。

腰に手を回して体はAの方に傾いている。
後ろを歩く私達の身にもなって欲しい。

「銀時、歩きづらい、離れろ。お前は私の彼女か」
「いや、旦那さ、」

言い終わる前にAにその男は顔面を押されて引き剥がそうとされる。だが、全く離れずにAが諦める。
ずっとそれの繰り返しだ。

「このチョコレートパフェと、このちっさいチョコレート、10個。ケーキ?じゃあそれも追加で」
「はぁ…………私はアイスコーヒーで。お前らは?」
「俺もパフェと、カカオ少なめのやつ」
「私は少しカカオ多めのもので」

この男、遠慮がないな。Aももはやな諦めてる。
あのAに諦めさせるのは大概なものだ。

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作者名:フルーツパンチ侍 | 作成日時:2023年9月2日 4時

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