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目を動かすと傑と目が合った。
「傑、助けて。こいつ剥がしてくれ」
「えぇ……」
「ずっと気になってたけど誰だよその男達は!!仲良さそうだけど、君たち俺のAに何もしてないよね!?」
「するわけねーだろ」
「誰がお前のAだ。いい加減離せ。帰りになんか甘いもんたらふく食わせてやるから」
「え、まじ?」
こいつ、本当にたかりと食い意地しかないな。
「まじまじ。車ん中は絶対安全だから。悪霊退散のお札貼っとくから」
まだ手を握ってくる銀時の背中を押しながら助手席に押し込む。
チャイルドロックもかけとこう。
「G○DIVAのチョコをAにあーんしてもらえるんだよね??」
「ほんとがめついな。はぁ……わかった、わかったから。帰ってくるまでドラ○もんの歌でも歌ってろ」
助手席のドアを閉め、車のキーでロックする。
懐から出した手帳の紙を一枚切り取り、ペンと共に悟に渡した。
「これになんか悪霊退散的な何か書いといてやってくれ」
「悪霊退散的な何かってなんだよ。幽霊はしらねぇんだけど」
「テキトーでいいんだよテキトーで。書いたらワイパーのとこに挟んどいてくれ、違反切符的な感じで」
悟に適当にお札を書かせる。
銀時は本当に面倒くさい男だ。
運転席の窓から車内を覗き込むと、完全にビビっている銀時の姿が見えた。
なんかぶつぶつと独り言言ってやがる。
「あーお前にもて遊ばれた女の怨霊が車に近づいてきてるなぁー」
「嘘だよね?!?!俺はずっとA一筋だし?!?!」
「…………あっ……銀時……」
私は渾身の演技でおぞましいものを見るかのように銀時を見た。
なになになになに、と銀時がテンパり出す。
「…………なんでもない」
「何ぃぃぃぃぃいいい?!?!」
「A……」
傑と悟から呆れたような顔を向けられた。
なんだ。
これくらい仕返ししてもいいと思えるほどの乞食と迷惑を普段かけられてるんだ。
銀時の車の外まで聞こえるドラ○もんの歌を聞きながら私達は鬱蒼とした森の中に進んでいった。
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作者名:フルーツパンチ侍 | 作成日時:2023年9月2日 4時