自分がそうだからって相手もそうとは限らない ページ23
銀時はもちろん送迎にも連れて行くことになった。
いつもうるさい悟も、傑も一言も喋らない。
何だよこの気まずい空間。
「…………それで、帰る手立てがあるからこっちに来たんだよな？」
「そんなもんはねぇ」
そんなもんはねぇ。
この世で一番聞きたくないセリフだった。
お前まで迷い込んできてどうすんだよ。
「何でこっちにきたんだよじゃあ…………源外のおっさんはまだなにも手がかりなしか」
銀時は黙り込んでなにも言わない。
どいつもこいつも……。
「これからどうするつもりだ」
「そりゃあ邪魔するやつもいねぇし、Aとドキドキッ！ラブラブッ！同棲生か、」
「今ここで車から蹴り下ろされたくなかったら黙れ」
「はい」
こんな奴と暮らしたら確実にヒモじゃないか。
ため息しか出ない。
「…………お前はここにいたら駄目だろう。お前が帰らなかったら、新八は、神楽は、どうなるんだよ」
「……Aがいなかったら、真選組は、俺は、どうなるんだよ」
銀時は私の問いかけに答えず、問いかけを返してきた。
私がいなかったら。そんなの、決まってるだろう。
「変わらない。電話でも言っていたはずだ」
銀時の息を吸う音、そして車内が少し揺れた。
銀時が、助手席から私の服をつかんでいた。
「危ないだろ。運転中だ。私の可愛いクソガキどもも乗ってるんだ」
バックミラー越しに悟に睨まれているのが見えた。
「…………俺はこっちに一日しかいられねぇ。だが、お前を一緒に連れて帰る」
横目で銀時を見た。
その赤い瞳が珍しくギラついていた。
いつも死んだ魚の目ェしてんのにな。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 51人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：フルーツパンチ侍 | 作成日時：2023年9月2日 4時
