夜に出歩く大人は疑ってかかれ(五条) ページ2
夜遅く、その足音と襖が開く音に俺は気がついた。
傑はもう隣で寝息を立てて寝ていた。俺はなかなか寝付けずにぼーっと天井を眺めていた。
おそらく、Aが帰ってきた。
何時だと思ってんだ。もう12時回ってるぞ。
そしてまた出ていくような襖の音が聞こえ、俺は静かに起き上がった。
またどこに行くつもりだ。
Aが言っていた気配を消す方法を意識しながら、部屋をでて、その背中を追う。
Aが急に立ち止まった。
「おい、全然出来てねぇ」
「…………なんでバレんだよ」
かなり距離を置いていたはずだ。
「感情のこもった視線がだだ漏れなんだよ。悪巧みしてるのがな。まだ起きてるのか」
近くで見たAはその体の凹凸がよく分かる誘惑的な服を着こなしていた。
お客サマに会いに行っていたんだろうとすぐに察しがつく。
「……またどこ行くんだよ」
「あ?見りゃわかるだろ。風呂だよ」
俺が視線を落とすと、たしかにAは旅館の浴衣などの着替えを持っていた。
「で、何しに来たんだよ」
「…………別に」
特に用も理由もなかった。
ただ寝付けなかったところにAがタイミング良く来ただけだった。
「……お前の考えてることが時々よく分からん」
Aは小さく息を吐いて腕を組んだ。
俺よりも少し小さいAが俺を見上げる。
「そういえば、ここには混浴用の露天風呂もあるみたいだが、一緒に入るか?」
「ん…………え、はぁっ?!」
さらっと流れるようにとんでもないような事を言い出すAに頷きそうになった。
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作者名:フルーツパンチ侍 | 作成日時:2023年9月2日 4時