存在証明【呪術廻戦】 (ページ28)

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「お〜いA〜
あれ？聞こえない？
Aーーーーーーー！！！！！」

「病人を前に騒がしくしてどうするんです」
「ええ、だって怪我してないよ？」

ぼんやりと、聞こえる聞きなれたその声。

パチリと目を覚ませば、そこは高専だった。

「お！A、起きるの遅すぎじゃない？」

『…五条パイセン』

「無事ならよかった」

『…七海も』

そこで思い出した

『…ｯ!!百鬼夜行＿＿＿＿＿』

五条「とっくに終わったよ
＿＿＿＿＿夏油傑の死をもってね」

ぼんやりと思い出した
あの大きな呪霊を祓った後のこと＿＿＿＿＿

呪詛師も呪霊も揃ってどこかへ消えたのだ

まるで、何事も無かったかのように

そこで呪力を使い果たしたAは、
安心しきったのか眠ってしまったのだった

それにしても＿＿＿＿＿

『そう…ですか…』

夏油傑の死をもって。
五条は確かにそう言っていた。

高専に戻った五条が、夏油傑を祓ったのだろう
唯一の親友を＿＿＿＿＿。

＿＿ｶﾞﾀｯ

七海「喉が渇いたので水を買いに」
『え？』
七海「五条さん、Aに変なことだけはしないでください」
五条「僕をなんだと思ってるの」

それだけ言うと、七海は部屋から出てってしまった

五条「＿＿＿傑がさ、Aに伝言って。最期に」

五条「＿＿＿、＿＿。」

『…!!』

割り切っていたけど、心のどこかで後悔していた

もし、戻れたら
いつもいつだってそんなふうに考えていた

あの人を救えなかったのは自分のせいだと
いつも自分を責めていた

『…ほんとに。傑さんは優しすぎるんですよ…』

どこまでも他人想いで、真面目で
そんな夏油傑にこの術師の世界は息苦しかったのだろう

でも、だからこそ＿＿＿＿＿。

『俺、呪術界を変えるって五条パイセンの夢
手伝います。もう二度と繰り返したくないですから』

五条「じゃ、まず口調からだね
特に俺はやめときな」

『…ﾁｯ』

五条「はい、舌打ちも禁止〜」
五条「ため息も禁止〜」
五条「無愛想も禁止〜」

他愛もない会話
でもそれが楽しかった

術師の世界はいつだって、死と隣り合わせ
誰がいつ死んだっておかしくないこの世界で
それから目を背けるのは無理がある
それでも、Aは平等に人を救い続ける

繰り返される世界の中で
自らに課せられた運命に逆らうことのなく
誰かの笑顔を守るために＿＿＿＿＿
今日も、闇の中で生きていく

存在の証明なんてそれで十分だから＿＿＿＿＿。