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Aが、呪霊が蠢く方向を向いた時だった
__ピクッ
微かに聞こえた。
小さな息の音が。
辛うじて生きるその声が。
そっと、耳を傾ける
『…ッ』
彼だ_____
死体の中で、そっと息をして生命を繋いでいる男が1人
『少し耐えてくれ』
虚空 は10秒前しか戻れない
その現実に打ちひしがれていた
でも今は_____
反転術式
男は白い光に包まれる
眩しい光が溶けた時、
死にかけていた男は、時間が戻ったかのように
元気な姿に戻っていた。
「あれ…」
『…ッ、無事か?』
「あ、久遠さん。お疲れ様です
はい!俺は無事です」
『そうか…』
現状は悲惨だ。命を落とした仲間も大勢いる
それでも、一人の男を救えた。間に合った
それがAの糧となる
_ドゴンッ
刹那、空から降り立つ呪霊
「グギィィィ」
奇声を発しながら、ニヤニヤとしているその呪霊は
不気味で、大きく、恐怖心を煽るのには十分だった
「…ッ」
1度死にかけた身、それでも男は震えながら呪霊に向き合った
『ここは俺が』
男が振り向けば、いつになく勇ましく頼りがいのある顔つきをしたAがいた
『俺の反転術式は、付け焼き刃だ
お前は、戦線を降りて硝子さんに見てもらえ』
「でも…」
『俺は1級だ。それとも俺には無理か?』
「いや、そんな…」
『じゃあ、走れ
俺がこいつの気を引きつける』
「はい、あの!ありがとうございます」
信念を貫いて
「あそぼ〜〜〜」
呪霊が、男を追いかけようと手を伸ばした時だった
__バチンッ
その手はAの一蹴りによってちぎられる
『はき違えんなよ
お前の相手は俺だ。いくらでも遊んでやる』
「あそぶ、あそぶ!!」
__ドガッ
呪霊の大きな手がAを押し潰そうと地面に叩きつけられる
時空間呪術
___パシュンッ
一瞬にして姿を消したAは
呪霊の背後をとった
そして
_____ドゴッッ
呪力の篭った蹴りで、呪霊を蹴散らす
__パシュンッ
さらに、その飛ばされた先の上空にAは移動する
拡張術式
__ズドン
切り取られた空間が重力と化し呪霊を押しつぶす
『人の命、なめんなよ』
呪霊は、ギリギリと音を立てて地面に押しつぶされ
_ズバンッ
闇は祓われる
_____そこで、Aの記憶は途切れた
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作者名:SEI | 作成日時:2022年3月18日 19時