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すっと煙を吸い込み
空へと吐き出す。
火で燻られた葉の苦さは吸い込めば吸い込むほど
久遠の胸に溜まっていく
ぼんやりと高専の喫煙所で 煙草を吸っては
遠い何かをただただ見つめる_____。
「あまり思い詰めるな、A」
『…禁煙したんじゃないんですか?』
「あたしはね」
家入硝子
高専専属の医師であり、数少ない反転術式の使い手
そして、Aの先輩であり
五条悟と夏油傑の同級生が彼女だ
家入「もし今回のことが本当にあのクズの仕業だったとしても、それはAのせいじゃない。
いくら過去に戻れるたって たったの10秒だ。
簡単にやり直しが効くならとっくにやり直せてる
そこんとこ、吐き違えるなよ。」
_____記録 2007年9月 ■■県■■市(旧■■村)
・担当者(高専3年 夏油傑)派遣から5日後旧◼◼村の住民112名の死亡が確認される
・全て呪霊による被害と思われたが残穢から夏油傑の呪霊操術と断定
・夏油傑は逃走
呪術規定9条に基づき呪詛師として処刑対象となる
たった2人だけの教室_____。
つらつらと大人が述べるその言葉は
右から左へと流れていく
「■■■■■■、■■■■■■。」
まるで、通じない言語を話されているみたいに。
「■■■、■■■■■■
(久遠、聞いているのか?)」
『………』
蝉の声。
大人の声。
その全てが近くにあるのに遠い声に聞こえた
七海「A…?」
_ガシャンッ
「■■■!!■■■■!!
(久遠!!どこにいくつもりだ!!)」
憧れだった。
五条悟と夏油傑。
そのコンビには適わなかった。
最強のその2人に憧れた。
彼らが青春をくれた。
意味を教えてくれた。
そんな夏油が?有り得ない。
五条が何も知らないわけがない。
息を切らせてやってきた教室では、
五条が叫ぶ声がした
五条「…は?」
夜「何度も言わせるな。傑が集落の人間を皆殺しにし行方をくらませた」
五条「聞こえてますよ。だから「は?」つったんだ」
夜蛾「…傑の実家は既にもぬけの殻だった。ただ血痕と残穢から恐らく両親も手にかけている」
五条「んなわけねぇだろ!」
夜蛾「悟!
俺も…何が何だか分からんのだ」
立っていられなかった。
現実だと認めたくなかった_____。
ああ、どうして。
10秒前しか戻れないのだろう_____
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作者名:SEI | 作成日時:2022年3月18日 19時