小話 彼女のかくしごと�� ページ41
二人はしばらくの間そこから動かず、肩を寄せ合ったまま言葉を交わし続けていた。楽しそうに何かを話しかける宮井と、それに頷きながら口を動かす青年。何だよ、一体何を話してる？「これ買って」「いいよ」とか？
そんなん俺がその棚ごと買ってやるから、今すぐソイツから離れろ！
俺の念が通じたのか、宮井が「あ」と口を動かし、ふらりと別のスペースへと足を運んだ。そうして次に向かった先は──────…柱に隠れて見えん。店の中に入るしかないと足を踏み出した時、ポケットの中で携帯が着信音を鳴らし始めた。
「チッ…誰だ、こんな時に…！」
キレ気味で電話に出る。補助監督からだった。そろそろ次の任務へ向かわなければならない。もう、迎えの車も着いているそうな。ああクソ、こんな時に──────！
店の奥へ消えていく宮井と、手に握りしめた携帯電話。
その二つを交互に睨み──────俺は結局、任務へ急ぐことにした。宮井を問い詰めるのは、任務を片付けた後でいい。どうせ低級の呪いだ。十秒あれば楽勝だろう。
一瞬で終わらせて、あのどこの誰だか知らない馬の骨をぶちのめしてやる…！
──────と、心に決めていたのだが。
いざ任務を終えて冷静になってみると──────俺は今日、デートの誘いを断られたわけで。つまり宮井は、俺よりもアイツとの予定を優先させたってことだ。
それに気づいてしまうと一気に自身がなくなってきて…大人しく寮に帰ることしか、今の俺にはできなかった。
…このところ暇さえあれば宮井の部屋に入り浸っていたから、一人の夜は落ち着かない。ベッドに横たわって目を閉じてもなかなか寝付けず、かといって携帯を見る気にもならない。
だって、もし『別れてください』とかメールが来てたら…俺はもう、生きていけないだろうから。
「…俺、捨てられんのかな」
ぽつりと呟いた声は、薄暗い部屋の中──────孤独な闇の中へ溶けていった。
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つく(プロフ) - のみさん» のみ先生ありがとうございます…！のみ先生からの励まし、とても力になりました。今後ともよろしくお願いいたします…！ (2021年2月20日 13時) (
レス) id: 90f06cbeae (このIDを非表示/違反報告)
つく(プロフ) - へかーてぃあ@夢見月*小夜セコム隊さん» ｵﾜｧ！最初から読んでいただいてありがとうございます…！続編についてもいつか公開すると思いますので、また楽しんでいただけるよう頑張ります！ (2021年2月20日 13時) (レス) id: 90f06cbeae (このIDを非表示/違反報告)
つく(プロフ) - 晩鶴紫呉さん» ありがとうございます〜！続編についてもぽちぽち書き進めている最中ですので、いずれ公開します！ (2021年2月20日 13時) (レス) id: 90f06cbeae (このIDを非表示/違反報告)
つく(プロフ) - はにゃさん» ありがとうございます！続編もいずれ公開されると思いますので、その際はよろしくお願いします〜！ (2021年2月20日 13時) (レス) id: 90f06cbeae (このIDを非表示/違反報告)
つく(プロフ) - 五音さん» コメントありがとうございます！続編については制作中ですので、ある程度アップできる状態になったら公開しようと思います〜！ (2021年2月20日 13時) (レス) id: 90f06cbeae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つく | 作成日時：2021年1月16日 1時
