だから、そうじゃなくって。第二章 (ページ10)

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番外編:チョコとキスと恵くんページ10

※本編とは別軸のお話です。

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今日はハロウィン。
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賑やかなメロディが鳴り響き、赤やオレンジのライトが暗い夜を怪しく照し街はいつもと違う雰囲気が漂っている。

『やっぱり都会は規模が違う！』

あっちもこっちも怪しく可愛く飾り付けられ、もとが何の店なのかもわからない。

デパートですらハロウィンを強調した装飾と、それに負けない程従業員の装いも華やかである。

「あ、いた。」

「おいA！こんな人混みん中居たら迷子になるだろ！」

『恵くん！大丈夫だよ、最近慣れてきたし！』

今日のハロウィンパーティー用に準備してたお菓子やドリンクの減りがとんでもなく早くて、じゃんけんに負けた私と恵くんが買い出しに駆り出されました。

「気のせいだから、俺から離れんなよ。」

『うっそんなことは…』

ほら、と差し出された手を握ると、恵くんは目線を外して小さく頷く。

「今日は騒がしい奴らが多いし、転けたりはぐれると危ないから。」

『ありがとう、優しいね。』

「そうでもない。」

『じゃあ心配性？』

「別に……心配すんのはAだけだから。」

『え、そんなに酷い？』

「はぁ……だから、そうじゃなくって。」

空いている方の手で頭を押さえて小さな溜め息をつくと、ポツリポツリと歩きだした。

「あ。」

『どうしたの？』

「トリック・オア・トリート。」

『え、このタイミングで？今から買いに行くとこだし、お菓子なんて持ってないよ？て言うか恵くんも持ってないでしょ！』

「俺はもってる。」

そう言ってポケットから取り出したのは、さっきまで皆と食べていた個包装のチョコレートだった。

「やるよ。」

片手で器用に包み紙を剥がすと、チョコを私の口に放り込んだ。

『…甘い、っじゃなくって！ずるいよ私なにもないよ？』

『あっでも、これだと恵くんがお菓子あげて損しただけじゃ？』

「そうでもない。」

不思議に思って恵くんの方を見上げると、ぶつかりそうな距離に恵くんの顔があって

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『んんっ……』

気付けばキス…されていた。

「ん…甘いな。」

急な出来事に思考がうまく働かない。

「……好きだ。」

「先に言っとくけど、チョコでもいたずらでもない、Aが好きだから。」

追い討ちをかけるように囁かれ

心臓がドキドキして、頭は真っ白。

でも嬉しくて、幸せな気分。

この感情はきっと……

『私も、好きだよ。』

甘い香りが口の中に広がっていった。