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8話 ページ10

「無理ってとっとと帰ればいいのに」

「 坊ちゃんには憐憫が
どれだけの侮辱かお分かりにならないでしょうね」

来るとわかっていたのに避けられなかった拳は、
まんまと私の鼻っ面を派手に赤く染めた。

「出来損ない、
外で止めてろ!!」

今の私ならあぁんてめぇこらぁ
当てねぇって練習だろうが舐めてんのかぁ?!

と言っているだろう(さすがに言わない)

ちり紙なんて貰えるはずもなく、
花壇の雑草に血という水をやっていたら、
背後から綺麗な銀髪に碧眼の少年が、
眉尻を下げ、
若干の可哀想と言う色を目に滲ませて、
私にそういったのだ。

あの頃の私は、
本当に何も出来なくて。
でも両親は私を出来る子だと信じてて。

できないだなんて言えるわけないだろ。

馬鹿にされても仕方ない。

分かってるよ
その可哀想って面の裏でバカにしてるの。

誰に泣かされたの?
自分のみじめさにだよ。

お前が優しくすればするほど
私は出来損ないだって自覚する。


とにかく自分の立場が息苦しくて。

気づいたら超逸材の天才に、
そんな言葉を吐いていたのだ。

天才様はいいですよね。
誰からも認められて、誰からも褒められて。
バカにされたことあります?
あなたが今やってる事ですよ。
道端にころがってる石と同じくらいに、
見向きもせず通り過ぎてくださいよ、、

惨めすぎて惨めすぎて、
帰れるはずもないのに
帰った時のことを想像したりして。



「ううんとにかくダメすぎる」

五条さんを撒いて、
ようやっと帰ってきた自宅。
当然催馬楽の家ではない。

「一応本家様に、
あれはないよなぁよくなんも言わないでくれたよ」

今の……
少し前の五条さんなら全力パンチだったろうなぁ

ていうかあの頃の五条さんはどこ行ったの?
超いい子じゃん可愛い時もあったんだなぁ。

なんて。

あれから数年……と言うには少し長い時間。

催馬楽Aは特級に成れる。
五条悟に並ぶ逸材。
黄金期。

だなんて、呼ばれるとは思いもしなかった。

「あーあーあーあー、
こんなこと言ってるから老けるんだよ、
寝よ寝よ」

思い切り布団を被る。

戻りたくないあの頃。
幸せだった、
何も知らなかった、
100度のぬるま湯。

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ワイヤー女 - 新さん» ありがとうございます!!とても励みになります!これからも是非ともよろしくお願い致します! (2020年5月25日 16時) (レス) id: cedc192f36 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - めっちゃ好きです!!全てが好きです!!更新頑張れぇぇぇぇぇ!!!!! (2020年5月25日 13時) (レス) id: e596ede8e2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:よく骨を折る田中 | 作成日時:2020年5月23日 18時

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