【呪術廻戦】讃美歌

5話 ページ7

「どの面下げて今更帰ってきたの？」

氷点下。
そうだなぁその例えが一番いい。
変えるとしたら、
北極の寒さで氷った針葉樹。分かりづらい？
私も何言ってるか分からない。

「どの面って……
可愛い可愛いAちゃんの顔じゃないですか
懐かしでしょ？
これから毎日見られますから。」

顔にはおくびも出てない(はず)
だけど全力で逃げろと本能が言っている。
今はどうだか知らないが、
昔のこの人は、ちょっとやばいから。

「何逃げてんの？」

バン！！！
顔の両横に手のひら。

期待した
女子のあこがれ
塵と消ゆ……

季語がねぇ！！

こほん。

人生初の壁ドンがこれでいいの神様？！
顔はいい。
確かに顔はいいけどこんな場面で、
しかも五条さんはちょっと嫌……

「ねぇ、聞いてる？」

「なんか話し方変わりました……？」

「そんなこと今僕話してないんだけど」

絶対変わったよぉ！
だって一人称僕じゃなかったし〜！

なんて
同窓会で会った時のような反応を脳内補完して、
全力で現実逃避しているのに。

「飽きた、なんて言って出ていったくせに、
こんなにノコノコ帰って来れるんだ。
どうせなんにも出来なかったんでしょ？」

目線がかち合う。
多分。なんだよその変な目隠し。
そういう趣味なの？

つーかなんにも出来なくなかったわ。
完璧に祓って来たよ、あんたの代わりに。

こほん。

「…………ノコノコって可愛いですよね」

あぁ神様どこまでも逃げてしまいます。
その度にこの人怖くなっていくんですけど
あのぉなにか対処法を

「催馬楽」

「なんですか」

「ここに今更居場所があると思ってる？」

「ないとしたら作ればいいのだ。
サイバーラ」

そいじゃ。

私は無駄に高い身長のおかげで、
充分あるスペースをすり抜けて歩き出す。

「催馬楽！！！！」

がなると喉いたみますよ。

なんてセリフはわざわざ言わないが。

そんなに怒んないでくださいよ。
あんたのためにやって、
そんなに怒られたんじゃ私可哀想じゃないですかぁ。

と心の中で返事をしておいた。

ま、夢叶って幸せっちゃ幸せですけど。

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