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44話 ページ46

明日はきっと朝早いし、
まだ催馬楽残ってるしと
僕はいつもより急ぎめで入浴する。

……そういえば、
過去にも1度
催馬楽と同じ部屋に泊まったことがある。

あの時は、本当は3人で泊まるはずだったのだ。

まだ1年になりたて、
家で稽古があったとはいえ、
きちんと呪術師として活動するのは
今回が初めてで。

ひとつ上の先輩と、催馬楽と、3人で。

2級くらいの呪霊を祓う予定だった。

なのに。

「先輩!」

「先輩ッ!!!」

催馬楽の指が線を引いた瞬間だった。

2級以外に特級が隠れていて、
それに気づいた催馬楽が境界を引こうとした、
その刹那。

遺体すら残らなかったのを、覚えてる。

面倒なことまで思い出して、
僕はシャワーの水を思い切り浴びた。

『五条さん!!』

あの後僕に狙いを定めた2級の呪霊を、
催馬楽は寸分たがわず首を飛ばした。

それからまだ残っていた特級を見すえて、

祓わないと(殺さないと)あの人に報えません』



「あー……」

強がってるだけなんだよなぁ。

あの時は僕も動転してて、
催馬楽のその言葉に救われた。

夜が老けて仕方なく泊まることにした宿は、
学生料金で賄えるほど安くもなく。

今日と同じように僕が先に風呂に入ったんだっけ。

出てみたら催馬楽がいなくて、
靴すらもないから何かあったのかと探しに行けば。

声をかけられなかったのを、
覚えている。

幼なじみに恋愛感情は抱かないと言うが、
本当にそうだったと思う。
女とか男とか、
多分気にしてなかった。
ただの、昔からの知り合い。腐れ縁。

あぁ、女の子なんだなと思った。


「後にも先にも
泣いてるの見たのはあの時だけだけど」



なんというか。
言葉にしづらいけれど、
あの脆いくせに折れることを知らない彼女が、
たいそう愛しく見えてしまったのだ。

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ワイヤー女 - 新さん» ありがとうございます!!とても励みになります!これからも是非ともよろしくお願い致します! (2020年5月25日 16時) (レス) id: cedc192f36 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - めっちゃ好きです!!全てが好きです!!更新頑張れぇぇぇぇぇ!!!!! (2020年5月25日 13時) (レス) id: e596ede8e2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:よく骨を折る田中 | 作成日時:2020年5月23日 18時

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