名前は片想い ページ1
×krm
問題ない関係で悩んだりはしない。
「ねえ、だーい好き!」
『…あー。今日もありがと』
「またそうやってはぐらかすぅ」
『なんだよじゃあどう返せばいいのよ』
「俺も好き!でいいじゃん、」
『ばかか。』
いつだってアイツは私のこの崇高な気持ちに
向き合ってはくれない。
はぐらかして茶化してなかったことにしようとする。
いいんだ、別に。振り向いてもらえずとも、
この気持ちは変わらないから。
なんて、強がってみたりして。
『だいたいさ、俺のどこが好きなの?』
「わかんないよ、初めてあった時から好きなんだもん」
『それがわかんないんだよな〜』
「わかってもらえなくていいの、むしろ、わかんないで」
『わかんないでって何、笑』
一目惚れだった。友達の結婚式の二次会で、新郎側の友達だったアナタ。
一目惚れなんてするのは初めてで、最初はすごく不安だった。
色んなところをすっ飛ばしてしまったものだから、
アナタがどういう人なのかわからないままだったから。
それから少しずつ、パズルのピースを埋めるように
アナタという人のかけらを拾い集めて、
冗談を言い合える仲にまでなれた。
勿論私はずっと本気なのだけど。
『まぁ、これからも頑張ってください。』
そんな上から目線の発言も、無邪気な笑顔がくっついているせいで
すんなりと受け入れてしまう、許してしまう。
いいよ、私のこと受け入れる準備ができるまでは、
この想いを冗談にしといてあげる。
「ねえ、でも私のこと、嫌い…ではないよね?」
『…そりゃあ、ね。嫌いだったら一緒にいないでしょ。』
「ふふん。素直じゃないやつ。」
本当はぜんぜん平気じゃない、
どうしようもなく好きだから、
もっと触れたいし、もっと近くなりたい。
でも嫌われたくなくて、自分の気持ちよりアナタの気持ちを優先する。
一度強がってしまったら、抜け出せなくなってしまっただけなのだけど。
本当は崩れ落ちそうなのに。
曖昧な関係の名前は片想い。
(いつか絶対、と息巻いた、日曜日の昼下がり)
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作者名:yucari | 作成日時:2024年3月15日 2時