【ツイステ】私と教育係 (ページ9)

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《第七話》ページ9

『あの、カリム……』

「どうしたんだ？ A」

『えっと……その、』

申し訳無さそうにAはカリムを見やる

『(さっきからずっと帰る道が同じ過ぎて怖い……なんて

口が裂けても言えない……)』

Aは嫌な冷や汗をかく

実際その通りで先ほど別れたはずの少年もといカリムはAの後ろをくっついて離れない

まさかとは思うが、彼の家がAの近所なわけあるまいし

もしや、刺客……とか

三女は嫡子と比べれば利用価値は下がるが、Aはアジーム家の三女

ありえなくもない

『……』

「？」

再びAはカリムを見つめる

不思議そうに、そして無邪気にこちらを見つめ返すカリム

『(そうだよね、そんなわけない)』

カリムは私を助けてくれたんだから

……偶然の産物だけど

だとしてもカリムが悪い人間のようには見えなかった

刺客なんて以ての外

むしろ私のほうが殺す側かもしれない、なんてAは思っていた

Aが考え込んでいる間に少し先を歩きはじめたカリム

どうせ帰るなら、一人より二人のほうがいい

カリムに追いつこうとAは小走りになる

しかし、突然走れなくなる

もっと言えば、誰かに腕を掴まれ動けなくなってしまった

わざわざ人の腕を掴むなんて、なんて失礼な

Aは憤慨した様子で振り向く

振り向き、腕を掴んできた相手の顔を見上げる

瞬間、Aの顔はすぐに血の気の引いたものへと変わった

ヒュッと呼吸が浅くなる

その焦った様子に相手はニンマリと口角をあげる

「ちょっと迷っちまってな、俺たちの道案内をしてくれねぇか？

……なぁ？嬢ちゃん」