【ツイステ】私と教育係 (ページ8)

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《第六話》ページ8

「嬢ちゃん、おつかいかい？」

『えっと、多分……』

「偉いねマームールあげるよ」

『ありがとおじさん』

雑貨屋のおじさんから白い布の被さったバスケットをもらう

布を少しずらせばマームール特有のハーブとスパイスの香り

おやつで紅茶と一緒に頂こう

バスケットの後は分厚い本を５冊受け取る

最近はAは魔法薬学にも興味が出てきた

この５冊はどれもそれ関連のものばかりだ

本当はもっと買いたいが、Aの腕力じゃこの量が限界

お会計と短い雑談を済ませて出ると、入り口にあの少年がもたれかかっていた

『(まだ居たんだ)』

とっくに帰ってもらって平気だったのに

よほど律儀な少年なんだろう

疲れた表情一つなく、一点を見つめ待っていてくれた

Aはそれに対して特に思うことも無く、少年に近づく

「買うのはそれだけなのか？」

『うん』

「じゃあ家まで送ってくぜ！」

『いいよ、迷惑だし』

「いや送ってく！」

『(家を特定されたくないだけなんだけど…)』

少年は食い下がらない

遠慮してもそれさえも無視してくるので諦めた

「名前なんて言うんだ？」

『……知らない人に名前教えちゃいけないって言われてる』

「オレはカリム！」

『……A』

「Aか！いい響きじゃないか！」

なんだコイツ

まるで物語の主人公のような性格にAは警戒する

ここまでいいヤツ(・・・・)だと何か裏がありそうで怖いのだ

『この辺でいいよありがとうカリム』

家の近くまで来た、そろそろいい頃合いだろう

「本当にここまででいいのか？」

『うん家ももう近いし』

何より、家の者に見つかったらまずいし