【ツイステ】私と教育係 (ページ3)

今日:3 hit、昨日:15 hit、合計:5,296 hit

《第一話》ページ3

『本、本が欲しい……』

Aは天蓋付きのベッドの上で身を捩る

それも死にかけの虫のようにジタバタと

“本の虫”

それはAの為に作られた言葉と言っても遜色ない

本のために生き、本を愛してきた

生まれつき物事の理解だけは早かったA

これまでの５年間は家中の本を読むことに費やしてきた

しかし、つい先ほど

本をすべて読み切ってしまった

本がないということはAにとって死活問題

言うなれば、ライフラインが途切れたのに等しい

だがAには、無駄に与えられた使い道のない大金(おこづかい)がある

自分は富裕層という地位いることをAは理解していた

本の在り処は街の雑貨屋、お金に問題はない

残る問題は、心の持ちよう

Aは生粋の出不精。外に出たくなかった

本だったら富裕層(そういうの)には必ず付き人(メイド)やら護衛(ボディガード)やらがいたはず

外に出たくないAからすれば絶好のパシ……ではなく、代行者

Aはキョロキョロと辺りを見渡す

家を守る護衛(ボディガード)や、食事を作る付き人(メイド)はいるが、肝心なA専属の代行者(パシリ)はいない

『(どうしよう本が無くて頭がおかしくなりそう)』

外には出たくない

でも本は欲しいし、本のためなら外に出る価値はある……かもしれない

『(となると残る選択肢は……)』

Aはゴソゴソと準備をし始めた