【ツイステ】私と教育係 (ページ13)

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《第十一話》ページ13

「＿＿＿＿カリムが、」

部屋を出ようとした少年はAに背を向ける

「カリムが……

助けてくれたのでしょう？俺に礼を言うのは間違っています」

少年は何でも無いように

当たり前の事実のように答える

だが、よく見れば、肩が震えていた

怒り、悔しさ、馬鹿馬鹿しさ

ましてやアジーム家の従者

理由はいくらでも思いつく

しかしAはその震えを見なかったことにする

相手がどんな感情で喋ってるかなんて、知ったこっちゃない

小さいその幼い体で何を抱えているのかなんて、興味も湧かない

ただ、

自分の本音を他人に否定される

これだけはAのプライドが許さなかった

『なんで、そんなつまらない嘘つくの？』

Aは少年の背中を見つめる

「嘘じゃ＿＿＿＿」

『嘘』

Aはキッパリと言い放つ

その言葉に少年は思わず振り向く

『綺麗な魔法だった』

記憶は、途切れ途切れ

ハッキリと覚えているのは精々この少年が来てくれたところまで

魔法を使ったときなんてノイズが入ったように朧げだ

それでも、

＿＿＿＿それでも私はあなたが助けてくれたあの光景を一生忘れないだろう

Aは少年の背に手をあてる

震える体に、嘘をつく必要は無いと言うように

『カリムのおかげにしたいならすればいい私も手伝う

でも、私は

あなたに礼が言いたいの

礼だけでも言いたいの

もう一度言う、ありがとう』

その言葉に少年は大きく目を見開く

「俺は＿＿＿＿」