《第四話》 ページ5
今でも鮮明に憶えている光景。
何回りも小さい体の自分がギリギリで戦っている。
数え切れないほど技を繰り出しても、全て無に還る圧倒的な実力の差。
あの時ほど悔しいものは後にも先にもなかった。
先程はもう二度と戦いたくないと思ったが、そろそろ時効なのかも知れない。
自分の限界を超えるべきなのかも知れない。
強く覚悟を決め、Aはもう一度問うた。
『……一体なんのマネですか、リリア……さん』
「くふふ。ここまで言ってまだ意味が分からないのか？」
『……。』
「そうか……ならば、コレを見よ！」
ニマニマと口角をあげたリリアは高らかに式典服の懐からナニカを出した。
そのナニカを見た瞬間、Aの目が大きく見開かれていく。
『そ、それは......！まさか……！』
「……あぁ。あの時の戦いをまたやろうではないか！！」
『「大発生クラッシュファミリーズ！！！」』
Aとリリアの声が重なる。
大発生クラッシュファミリーズ。またの名をクラファミ。
ツイステッドワンダーランドでその名を知らぬ者はいないほど有名なゲーム。
いわゆる対戦格闘ゲームのソレをゲーマーである二人は幾度となく戦い、その度に勝っては負け、勝っては負けを繰り返していた。
戦い始めば翌日の体調などガン無視の熱いバトルが繰り広げられることを意味する。
二度と戦いたくないと思うのも、毎日早起きであるAにとって後々地獄になるからに他ならない。
「対戦は明明後日の夜で良いか？」
『……望むところです』
Aはリリアの真意が見えなかった。
ただ単純にゲームがやりたかっただけか、それともあえて先程のAの動きを阻止し一年二人から話を逸したのか。
仮に後者だとしたら、どこに助ける義理があるのか。
考えたところで埒が明かない。Aはその瞳を閉じ、思考をシャットダウンする。
まぁでも自分もゲームがやりたかったし、今くらいは彼の思考にノッてやるか。
Aは頬を柔らかく染めた。
一方、ゲーマー二人がくだらないゲームの約束で盛り上がっているそばの鏡の間では、
着々と準備が整っていた。
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好好爺(プロフ) - 星詠みさん» コメントありがとうございます！！早速更新させていただきました！気づいたら亀更新してしまう作者なので度々教えてくれると助かります……！ (9月28日 23時) (
レス) id: eeb0faecb7 (このIDを非表示/違反報告)
星詠み(プロフ) - 続きいつでも待ってます‼︎ (9月28日 22時) (レス) @page17 id: 674129e800 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：好好爺 | 作成日時：2023年9月19日 14時
