《第十五話》 ページ16
『学園長、クレームが届いてます』
夜、夕食の時間。静かだった家はその一言で騒がしくなった。
「おや、私に？一体どなたから……」
Aはスーハーと息を整え、読み始めた。
『匿名で意見を入れさせていただきます。内容は結論を言うと、学園長ってマジありえなくね？という話です』
「マジありえない……？」
『まずはっきり言わせていただくと、なんでか弱い一年生たちを実力のある魔法士の同伴ナシで鉱山なんか送るんですか。 マジありえなくね？』
「それは…彼らがシャンデリアを……」
『続きを読みますね。前々から思ってたんですけど、学園長って秘書さんがいるから成り立ってるていうか、許されてること多くないですか？スケジュール管理とか』
「いやそれは……って、ん？」
この時クロウリーは違和感を覚えた。
ご飯は良いとして、なぜスケジュール管理のことも生徒が知っている？
確かにAを同伴させているとはいえ、そこまで察しが付くのは流石話がデキすぎている。
逆に知っているのは、NRCの先生と……それから。
『結論言えば、学園長を秘書さんがやれば良いんじゃないかってことです』
目の前でふざけた文章を読む、この秘書だけである。
「A、その紙見せてもらえますか？」
『……いえ。これは学園長が触ると死ぬという呪いが……って取り上げないでください』
クロウリーはその紙を無理やり取り上げ、眉間にシワを寄せる。
そして紙の内容をAに見せる。
「……この紙のどこに私へのクレームが書いてあるんでしょうか？」
クロウリーの言うようにその紙にはクレームなど書いてなかった。ただの白紙。
つまり、Aが即興でクレームしていたわけだ。
『心が綺麗な人にしか読めないんです』
「そんなわけないでしょう！！
というか、先程の意見は全てAの本音ということで良いですね！？」
『ちょっと調子にノッてみたくて……ダメでしたか？』
その言葉を聞いてクロウリーは叱るのをやめる。
「いや、構いません。やはりAはそれで、ワガママでいいです。
ここにきたばかりの時とは打って変わってちゃんと感情が出てきたんですね。
何十年も見守ってきた身としてとても嬉しいです」
クロウリーはAを優しく見つめる。
Aは首をかしげた。Aには昔の記憶がない。
クロウリーのその眼差しがどんな意味で向けられているのか分からなかった。
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好好爺(プロフ) - 星詠みさん» コメントありがとうございます！！早速更新させていただきました！気づいたら亀更新してしまう作者なので度々教えてくれると助かります……！ (9月28日 23時) (
レス) id: eeb0faecb7 (このIDを非表示/違反報告)
星詠み(プロフ) - 続きいつでも待ってます‼︎ (9月28日 22時) (レス) @page17 id: 674129e800 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：好好爺 | 作成日時：2023年9月19日 14時
