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《第十四話》 ページ15

「おい。これは一体、どういうことだ……?」


その日、レオナはいつもの昼寝スポットで頭を抱えていた。

それというのも。


『んん……』


Aが植物園で熟睡していたからである。



普段から隙を見せない相手が自分の縄張りで眠っていたら誰だって困惑するだろう。



レオナは誰よりもAと親しい自信がある。


元々見た目からして同年代、古い書物への造詣も深く、チェスもそこそこの腕前ときた。




趣味嗜好、思考回路が似た者同士ほど仲良くなるのに苦労しないモノはない。



それでも時折Aが何かを隠すような素振りには疑問に思っていた。


知ろうにも手段は少なく、なんとか調べてもろくな情報がない。



現にレオナはAの誕生日、年齢、出身国など知らないことが多かった。



そんな常にATフィールドガッチガチの相手がこんなところでグースカ寝ている。


「遊んでやるなっていう方が難しいよなぁ? 朴念仁」


早速Aの頭を自分の膝の上にガラス玉のようにそっとのせる。

レオナよりも三周りほど小さいAは想像以上に軽く、脆そうであった。


『……。』


幸運にもAが起きることはなかった。今も規則正しく呼吸をしている。


膝の上という至近距離ともなるとAの顔がよく見える。

前までそれなりとは思っていた顔が、かなりドンピシャであることにレオナは気づいた。


綺麗に繊細に縁取られた女みたいなまつ毛。サーモンピンク色の色づいた唇。

膝いっぱいに広がる絡まることを知らなさそうな亜麻色の長髪。



それら全てがこのいっときだけでも全て自分のものと錯覚してしまう。



それだけ今のAは無防備であった。


「あー……シラケた」


それだけつぶやくとレオナはAを自分のいつもの定位置に置いて去っていった。

まるで自分のモノにしたいという気持ちを表すようにして。



















『今の……何?』


去った後そんな言葉が植物園に響く。

怪訝そうにその背中が消えるまで見つめると、再び狸寝入りをした。

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作品ジャンル:ギャグ
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好好爺(プロフ) - 星詠みさん» コメントありがとうございます!!早速更新させていただきました!気づいたら亀更新してしまう作者なので度々教えてくれると助かります……! (9月28日 23時) (レス) id: eeb0faecb7 (このIDを非表示/違反報告)
星詠み(プロフ) - 続きいつでも待ってます‼︎ (9月28日 22時) (レス) @page17 id: 674129e800 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:好好爺 | 作成日時:2023年9月19日 14時

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