検索窓
今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:8,982 hit

another story「カゲロウデイズ」 ページ7

____君の亡骸を、抱いていた。





「………」


「しん、いち、ろ……?」





わたしを見ると、安心したように、
なにも言わずに瞼を閉じる君。



血飛沫の色と、
君の香りが混ざりあった。
無味の空気を飲み込む。





「あ、ぁああぁぁああああ…ッ」





なんとも味気のない結末が、
あまりにも気持ち悪くて。





乾いた涙ばかりを食べた。

何度も繰り返したバッドエンドが、

心に棲みついてしまって。





[ ]





顔をあげれば、アスファルトの奥、
掠れた陽炎が''これは現実だ''と言いたげに揺れる。



嘘だ。夢だと信じたかった。

生きてほしかった。

変わらぬ明日に縋りたかった。

幸せになってほしかった。



「五月蝿い、五月蝿い、五月蝿い」



君を轢きずり鳴き叫ぶトラックの音が、
君を貫ぬき突き刺さる鉄柱の雨が、



嗚呼、



















頭から離れない。

















「……わかったよ。」


















こんなよくある物語なら、
きっと結末は一つだけだ。




……なあ、そうだろう?








________迫る鈍色の刃に、君を押し退けた。








体に大きな衝撃が走る。
空も地面もぜんぶ真っ赤に染まって、
ぐちゃぐちゃに溶けていく。


熱を反射する、君の瞳を見た。
視界に霞む横顔が、
あまりにも美しくて。






「ザマァみろ…!」






最後にわたしは、


世界の奥、揺らぐ陽炎に笑ってみせた。
















某月某日、よくある夏の日のこと。

そんななにかが、漸く終わった。

another atory「side マイキー」→←後書き+α



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (74 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
84人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

!!!(プロフ) - おいどんさん» ありがとうございます!楽しんでいただけてなによりです!そうですね…続編はまだ悩むところですが、過去のお話はありかもです!かける時に少しずつやってみようかと思います!ありがとうございました♪ (2021年9月28日 11時) (レス) id: cbd2d135ba (このIDを非表示/違反報告)
おいどん - なんか最後の方涙で全然見えなかったけど、すごく面白かったです!!続編めちゃめちゃ見たいです!!真一郎と両思い?だった時の世界線もみたいです!!! (2021年9月28日 1時) (レス) @page9 id: e404c70624 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:!!! | 作者ホームページ:http:s//  
作成日時:2021年9月19日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。