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「オニーサン なにしてるの?」



その少女は 自然とそこに在った。


まるで 路地に咲く雑草のように。

違和感なんてものは微塵もなくて、
あたかも 始めからそこに居たかのように、
在るべくして在るような そんな少女だった。



「ああ?おれらは今取り込み中なんだ―――ッッ!??」



一瞬のこと だった。

3人いた不良のうち、彼女に近づいた1人が
空を仰ぎ バタリと倒れた。



「な…??!」
「何したんだこの女…!!」


「知ってる?
悪のヒーローってさ、勝てればなんでもいいの」



視界から倒れた男が消え、少女が現れる。
彼女が右手に持つのは


「死ね」




1本のネギだった。




「君は…」

A「オッサン、邪魔」



そう言えば 何を察したのか、
そそくさと間を通って逃げるオッサン。
不良はわたし以外に目もくれなかった。

敵はあと2人 だけど、



「…」

「兄貴は下がっててくれ、俺が行く」



'群れの成し方を知っている'。
それはつまり、
'戦い方を知っている' ということだ。


A「厄介だなあ」


懐に入り込んできた男、
髪を捕まれ引っ張られたのでネギで顔面を殴打。
そのままの勢いで拳をキメる。

「いッてぇ」
(鳩尾外した…!)

相手も負けじとばかりにわたしの拳を引っ張り、
脇腹を蹴りあげられる。


「ぐ…」


勿論 こちらも負ける気は 毛頭無い。
倒れた勢いで相手の金的に膝を入れる。
最後の仕上げと言わんばかりにこめかみを蹴った。


ラスト1人。




「…」


A「別に平和に終われるなら
それがイチバンいいんだけどなあ」


「俺が平和を望むとでも?」






多分こいつは ほか2人とは段違いに強い…

一発目のパンチをギリギリで見極め 避ける。
壁にめり込んだ拳が 全てを物語っていた。



A「ハハッ」



わたしなんかが出る幕じゃなかったのかもしれない。
手汗が酷い。足も震えてる。
こうなることは 最初からわかってた。

それでも 体が勝手に動いていたんだ。

ルナマナ(あの2人)が、わたしがあの夏の日に
置いてきたもの()をしていたから。

2人に


自分と同じ思いをして(希望を失って)欲しくなかったから。



A「やっぱ わたしおかしいや」



武道がわたしに声をかけたあの日から、
あのひとの声が
言葉が ずっと聞こえるんだ。

『この先の時代を オマエに守って欲しい』

ごめん真一郎 ダメだったよ。




迫り来る拳に わたしは静かに目を瞑った。

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作成日時:2021年9月2日 23時

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