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三成は珍しいぐらい純粋でどこまでも真っ直ぐな男だった。
下の立場の者が上の立場の者、姫君に恋慕を抱くなど考えられないどころか無礼ですらある時代。ゆえにどうすればいいか分からなかったのだろう。
死装束でどうにも映えないように思えるが 白い2人にはとても似合っていた。
「やれ、もう一刻もしやればどちらも燃やしてしまうぞ」
「じゃあそれまでは……あっ!その前に打掛脱がせねぇと!」
「質にでも入れやるか」
「んなことしねぇっすよ!汚さず大切に保管って唯桜様が言ってたもんで…呉服屋さんの道具も一緒にしとかねぇと」
手ぇ離れちまうなー、と頭をかいた左近。
何か思いついたように霸桜の裁縫箱を開くと赤い糸を鋏を取り出した。
「左近、職人の道具に触るとは命知らずよな ヒヒッ」
「たぶん呉服屋さんなら許してくれますって!
ほら、前に南蛮の商人が赤い糸の話してくれたじゃないすか?」
運命の赤い糸、だったか。必ず結ばれるおまじないのようなものだったはずだ。
「三成様、アンタすっげぇ頑張ったよ。だから向こうじゃゆっくりしてくださいね」
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作者名:クヴァール&くろのちか x他1人 | 作者ホームページ:なし
作成日時:2018年7月1日 20時