＊Jr.短編集＊部活。2 (ページ41)

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書道 × 西畑大吾ページ41

○萌様リクエスト○

新しい紙の匂いと墨の匂いという、
大好きな匂いに包まれる。

私にとっては、家のベッドに横になっているくらい
心が落ち着いて安らぐ匂いや。

幼稚園の時から書道を習っている私。

運動が嫌いということもあり、
部活は迷わず書道部を選んだ。

西「……うわ、むっちゃ綺麗。
　俺、Aちゃんの字好きやわ」

隣から身を乗り出して、
私の書を覗き込んでくる西畑くん。

＿＿いつから居たんやろう。
集中しすぎて、気付かへんかった。

そんなことより、“好き”という言葉に
異常にどきどきしてる自分が恥ずかしい。

＿＿あくまで書のことやのに。

西「なぁ、隣で書いてもええ?」

「勿論!」

と頷くと、チャームポイントの
八重歯を見せて微笑んだ西畑くん。

そんな可愛らしい笑顔とは一変して、
筆を持つと、一気に真剣な眼差しになる西畑くん。

格好良くて、思わず書く手を止めて見惚れてしまう。

＿＿あかん、集中、集中。
まず心を落ち着けへんと、いいものは書けへんから。

西「出来たー!」

子供が買って貰ったおもちゃを自慢するかのように
きらきら目を輝かせて、半紙を私の方に向ける西畑くん。

力強くも優しい字で、“愛”と記されていた。

「これ、俺のAちゃんに対する気持ちな」

そう言って、私に書を差し出す西畑くん。

西「Aちゃんの書は好き、やけど。
　
　 Aちゃんのことは、好き、やなくて
　愛してる、やからな」

重いな、ごめんと笑った西畑くん。

その時、彼の真っ直ぐな愛を
受け止めてあげたい、そう思った。

「私も、西畑くんの事好きだよ……

　西畑くんの愛には負けるけど」

西「これから愛を重ねていけばええから」

少しずつ、少しずつ。

愛を大きくして、積み重ねていこう。

　＿＿end.
　