＊Jr.短編集＊部活。2 (ページ14)

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バスケ × 平野紫耀ページ14

○里奈様リクエスト○

「だーれだっ?」

少しハスキーな声が、耳許から聞こえてきた。

「正解は……平野ですっ!

　びっくりさせてもーた?」

悪戯な目をして
私の顔を覗き込んでくる平野くん。

「平野くん、何で来てるん……?」

ここは、体育館の物置小屋。

今日は、女バスが朝練習で
平野くんの男バスは、練習が無いはずなんやけど。

平「……練習無いのに、間違えて来てもーて。
　笑われるから、皆には絶対ナイショやで?」

強引に小指を絡めてきて
“指切りげんまん”を口ずさむ平野くん。

＿＿天然な平野くんらしくて可愛ええわ。

「平野くん、もう皆来てまうで?
　はよ帰らへんと……」

そう言うと、
平野くんがぷくりと頬を膨らませた。

平「えー、帰りたないな」

名残惜しそうな目で私を見つめてくる。

「でも……。
　皆にばれたらあかんとちゃうの?」

＿＿さっき、“皆には秘密な”って言うてたやん。

平「……Aちゃんに会いに来た、とか言えばええやん」

「平野くん、冗談でもそれはあかんて……」

モテモテで女子から大人気の平野くんが
特に目立たない私なんかに会いに来た、となると

瞬く間に噂は広がって、
平野くんのことが好きな仔たちに睨まれてまう。

それだけは勘弁してほしい。

平「……あんな、平野、本気やで?」

真っ直ぐな瞳で見つめられて、言い返せなくなる。

平「平野、Aちゃんとなら噂になってもええで?」

平野くんの予想外の発言に、私は目を丸くする。

平「それに、噂になったほうが
　堂々とラブラブ出来るしな?」

ふふっ、と微笑んだ平野くん。

体育館から賑やかな声が聞こえるなか、

平野くんは、私の体をぐいっと引き寄せた。

あっと言う間に
甘いバニラの香りに包まれる。

大勢の女の子たちが見ているなか、

私は、平野くんに抱き締められた＿＿。

　＿＿end.
　