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「ソラちゃん！！」
朝一番、なぜか焦った様子でお店に入ってくるミニョンさんに、どうしたんですか、と聞く。その隣には、見たことのない男の子が。
全く状況を把握できない私に、ミニョンさんが諭すように私の手を握る。
「ソラちゃん、落ち着いて聞いてね。あのね、見つかったのよ、あなたの妹が。」
思わず持っていたコップを床に落とす。
がしゃん、と割れた音で我に帰ると、ミニョンさんの後ろで、おじいちゃんが複雑そうな顔をしていた。
「…………詳しく教えてください」
しん、と静まり返った店内で、ミニョンさんの綺麗な声だけが響く。
「この子、私の孫の家庭教師さんなんだけれどね。話しているうちに、この子の彼女さんの話になったのよ。ほら、〈コク〉って珍しい苗字じゃない？だから、もしかしてと思って写真を見せてもらったのよ。」
自分に双子の妹がいることはずっと前から知っていて。私が大切にしている写真に、一緒映っている彼女は、私と一緒に、もしくは別の場所で捨てられたのだ。
「…………会いたいです。もう一度、会って、話がしたい。たとえ向こうが覚えていなくても。」
時折涙を拭きながら、ずっと私の手を握る大好きなおじいちゃん。愛おしくて、大切で、何にも代え難い存在なのはもちろん。でも、やっぱり、たった1人の肉親にはどうしても会いたいものなのだ。
「……おじいちゃん泣かないでよ。ちょっと会って話をしてくるだけなんだから！それに、ほら、他人の空似ってことだってありえるんだし、ね？」
口を噤んだままのおじいちゃんの背中をぽん、と叩く。これ、住所と名前です、と男の子から紙を受け取ると、丁寧にお礼を言って、おじいちゃんに今日は部屋に篭ってもいいかな、と聞いてみる。
「……ご飯ができたらまた呼ぶ。」
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作者名：グラ | 作成日時：2023年1月23日 23時
