猟犬の妹は命を救う仕事をしている。 弐 【文スト】

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貴「さぁ花魁、聞かせて下さい。
貴女の正体とやらを」

不敵な笑みを浮かべるその姿は、さながら物語の悪役、ヴィランのよう。

あの正義の象徴の特士とは思えない。

三鷹花魁は、おもむろに羽織を脱ぎ、帯を解き始めた。

与「えっ、な、何して、、、」

この突然の行動に、流石の与謝野たちも狼狽る。

その「正体」は、口で答えるよりも見た方が早いと言うことか。

帯を解き、重ね着していた着物を脱ぎ、、、

ついに、襦袢だけになった。

その姿を見て、一同は驚愕する。

襦袢の腰の辺りに穴が開けられており、そこから







『狐』の尻尾が、生えていた。







花「ほれ、これがわちきの正体でありんす。
どうせなら耳も出した方が良うござんすね」

花魁はそう言うと、髪を結い上げている簪を、1本ずつ丁寧に抜いていく。

赤い髪紐を解いたとき、綺麗な長髪がさらりとその肌に流れる。

艶やかな絹のような髪に、Aは既視感を覚える。

それはまるで、瑛藍の美しい銀髪を、そのまま黒く染めたかのようだった。

そう考えると、顔立ちもどことなく似ているような気がしてくる。

違うのは目の色くらいか、と興味津々なA。

そして、花魁が自分の頭を数回撫でると、髪と同じ濡烏の色の耳が生えた。

これはまるで、

貴「、、、妖狐？」

Aの呟きに、金色の目を細めて見せる。

狐「こんこん、正解じゃ」

そしてころころと笑う。

狐「ほれ、これぞ真の『狐につままれる』ってな」

今までは、人の姿に化けていたということか。

異能空間から出る為の鍵が『花魁に化けていた妖狐』とは、、、

いよいよ訳が分からない。

与「、、、妖狐、か」

興味深そうに三鷹花魁もとい妖狐を眺める与謝野。

与「妾が貰ったヒントは『狐に大人しく奪われろ』。
その狐ってのは、あんたのことなんだろ？」

与謝野の問いに、はっきりとは答えないが、代わりに微笑む妖狐。

これは肯定と受け取って良いだろう。

福「大人しく奪われろ、か」

貴「一体何を？」

困惑の表情を浮かべるAたちを、妖狐は心底愉しそうに眺める。

狐「んふ、ふふふっ、何だろうね？
わちきはそこまで教えるつもりはありんせんよ」

問題は、太宰が導き出した『狐に殺されること』という条件に辿り着けるかどうかだ。

Aは兄である採菊によく似て頭も良い。

後は時間の問題だろう。

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