１８＜目を疑うとは正にこれ＞ ページ19
〜とある家の末弟が語る〜
6月29日-8:13-
「ニート達〜！そろそろ起きなさ〜い！！」
「ん...んん？」
起きた時に最初に感じたのは確かな違和感だった。
時計を見ればその時間は午後にすらなってなかったし。
そもそも母さんに起こされるなんて、学生以来だったからね。それ自体が最大の違和感なのかもしれない。ボク達、もう20過ぎた大人だし。
今日は女の子達との予定もなかったしさ、早起きする必要もないし、寝れるまで寝ようとしてたところだったんだ。
「んん...どうしたの、母さん。こんな朝早くに。」
起こされて機嫌が悪そうなチョロ松兄さんが、違和感に対し何があったのかと聞いた。
まともぶっているチョロ松兄さんも、寝起きだからか本音がポロッと出たらしい。別に8時は朝早くじゃないよ。もうニート脳だね、末期だね。
ボクは別に朝早くだなんて思ってないよ。
女の子とデートがある時はこのくらいに起きることもあるし、バイトもしてたし時間感覚はまともなんだ。
少なくともそこの時間感覚の欠片も無い兄さん達よりは。ん？別に変なことなんて言ってないよね？
だからボクは『遅くまで寝る』っていう正しい時間感覚を持つ者だけが感じ取れて楽しむことができる至福の時間を過ごそうとしてたのに。
「んん...別にいいじゃん、おそ松兄さんだって寝てるでしょ。」
するりと出てきたこの言葉は、昔は毎日言っていた言葉だった。
遅刻するでしょって怒る母さんに、長男であるおそ松兄さんに矛先を向けて、自分は眠る。
それはもはや口癖＿＿常套句のようなものだった。
だから確認だってする必要もなかった。
「何言ってるの、おそ松ならもうとっくのとうに起きてるわよ。」
「「えっ！？！？！？」」
布団に潜っていた奴も一気に目が覚め飛び上がって奇声を発した。
何を言っているんだ。
学生の頃の朝は兄弟の中の誰よりも布団に張り付き粘り強かったおそ松兄さんが。あの馬鹿松兄さんが。
兄弟全員でドタドタと居間に向かう。
そこにはきちんとパーカーを着て、寝癖も整えた、おそ松兄さんが居たのだ。10時を早朝だと言うおそ松兄さんがそこに居たのだ。
「７時には起きてたわよ。もう母さん感動しちゃってね。ずっと寝てるあんた達が恥ずかしくなって起こしにきたのよ。」
7時に起きたことに涙ぐむ母に、ハードルが低すぎないかとも思うが。
「え？え？」
チョロ松兄さんはよほどショックだったのか、更に奇声を発すると、そのまま「あははは」と笑い出してしまった。
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錠前(プロフ) - ライムさん» ライムさん、コメントありがとうございます！楽しんでいただけたようで何よりです。これからも頑張っていきますので、何卒、よろしくお願いします。 (2019年6月30日 12時) (
レス) id: 09029ad6bb (このIDを非表示/違反報告)
ライム(プロフ) - 作品、めっちゃ素晴らしいかったです！！！これからも応援しています！ (2019年6月17日 6時) (レス) id: 928e00f70d (このIDを非表示/違反報告)
錠前(プロフ) - killlifeさん» killlifeさん、コメントありがとうございます！甘いだけじゃない恋、ある種の苦味のある甘酸っぱさ、そういうモノがこの作品のテーマのひとつだったので、伝わったようでとても嬉しいです。これからも頑張っていきますので、何卒、よろしくお願いします。 (2019年5月30日 19時) (レス) id: 09029ad6bb (このIDを非表示/違反報告)
killlife - とても良い作品でした。甘酸っぱくて何だか学生時代の頃を思い出しました。コメント頂けると嬉しいです。 (2019年5月27日 0時) (レス) id: a010fddd46 (このIDを非表示/違反報告)
錠前(プロフ) - はむめろんさん» はむめろんさん、コメントありがとうございます！心が動かされた、というお言葉、本当に嬉しいです。この作品を通して、貴方に『何か』が伝わったなら、それだけで私は満足です。新作も頑張っていきますので、何卒、よろしくお願いします。 (2018年8月18日 10時) (レス) id: 09029ad6bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：錠前 | 作成日時：2016年10月22日 16時
