真実の愛は海の底に (ページ3)

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1話ページ3

フロイド「小エビちゃん！」

はぁ、まただ。

優しい声、甘い視線、他の人には見せない
隙だらけの姿。
それが向けられているのに気がつかない、私の親友。

愛海「わっ！フロイド先輩、どうしたんですか？」

自分の首に回された腕にも怖がることなく
笑顔を向ける。
そう、太陽みたいなキラキラした笑顔。

玻璃「愛海、先行っとくね。」

邪魔をしてはいけない。
こちらを睨むウツボに締められたくないから。

玻璃「エーデュースにも伝えておくから、ごゆっくり」

そう言い残すと、嬉しそうに顔を輝かせる先輩。
態度の変わり方がもはや怖い。

流石学校一の気分屋なだけある。

まぁ、私には関係ないから。

小さく呟いた時、視界に入ったのは
チェリーブロッサムの頭。

玻璃「あ、エース。」

見慣れた影に声をかけると彼はハッとこちらを向いた。
その顔に微かに残っているのは、悲哀とドス黒い嫉妬。

あぁ、見ていたのか、2人のことを。

キュッと締め付けられた胸に気が付かないふりをして
彼の背中をグイグイと押す。

玻璃「愛海は後で来るって。
自分達も急がないとおくれちゃう。」

真実の中に少し嘘を混ぜる。
きっと愛海はこの後の四限に出ないだろう。
それは、目の前の彼だって、わかっているはず。

エース「そうだな、監督生の方がとろいんだから
遅れるなよ！？」

再び顔を上げた時、彼の顔色は元に戻っていて。
いつものエースだ。

そうして二人、競い合うように駆け出す。

少し振り返って見えたのは
日向の中で微笑み合うお似合いなふたり。

早く諦めればいいのに、なんて。
お互い様だよね。