幼馴染みVSロイヤル宮舘。 (ページ7)

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中学時代の私は、一目惚れした三年生のテニス部の部長の事を考える毎日を過ごした。

恋に恋する年頃とは言えど私は特にそれが強いタイプなのか、朝から晩までその先輩の事を考え、友達からその先輩の情報を聞き入れてはキャッキャと教室や廊下で騒いで…今思うと青春だったなー…(笑)

しかし、ある日突然に『あの先輩はやめといたほうがええよ？』と、康二から私へ言われた台詞。私がテニス部の先輩に恋をした事がきっかけなのか全く関係ないのかはわからないが、私が一目惚れした先輩と同じテニス部に入部した康二は、私に何度も何度も繰り返しに『あの先輩はやめとけ』と、そう言ってきた。

康二は私に優しく、あの先輩はやめておけと言うだけで強く止めはしなかった。

何回も何回も耳にタコができそうなくらいに口で注意はしてきていたが、恋に恋する乙女は幼馴染みの言葉なんて耳に入るわけもなく、康二からの注意喚起を完全に無視して先輩に告白して見事にフラれ、心の傷だけが残った中学時代の失恋は今となっては良い思い出なのか黒歴史なのかわからない。

ハッキリと言えるのはあの時も今も、私は相手に関して何にもわかっていないのに恋をしてしまったという事だ。先輩の時は一目惚れをした日から、先輩についての事を知るのは人の情報伝いで先輩と直接か関わる機会はなかったし…
今思えばよくそれで告白したなというレベルだ。

好きでいるときは回りが見えなくなるし、日に日に相手の事を考える度に勝手に理想の人物に自分の頭が変換してしまうという私の悪い癖かもしれない。

向井『Aは良くも悪くも一途やねんな(笑)』

『先輩のことなにもわからないでただ突然に告白しちゃって、しかもフラれるとか馬鹿みたいだよね…』

向井『Aは何も悪くないって。今回は誰も悪くないって』

あんなに止めてくれていた康二のストップを無視してズタボロに先輩にフラれたのに、私の頭を優しくポンッと撫でながら失恋したての私を優しく慰めてくれた康二は、部活の無い日二人きりでの帰り道で『俺はAにあんなに思われてた先輩が羨ましいけどな』と苦笑いしていた。

あの時の康二の気持ちを考えると、いくら馬鹿な私でも苦しくなる。

あの時から康二は私の事を好きでいてくれたんだなと…