146 あなたの涙を拭えたのなら ページ46
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震える手を押さえて冷静なふりを装いながら、グクの整った顔に色を重ねていく。
私が直前の最終メイクを担当することが分かったグクは一瞬だけその表情を崩したけれど、次の瞬間には何でもないようないつも通りの表情に戻った。
あんな手を使ってまでこの機会を手に入れたというのに、実際この場にくると何を話したらいいのか分からなくて。
そうしている間にもメイクは終わりに近づいていた。
「あの、グク…」
JK「…何ですか？」
話しかけてみせた私に、グクは少し驚いているようだった。
「……お願い。無理しないでね」
結局何て声をかけたらいいのか分からなくて、口から出たのはこんな言葉。
こんなたった一言を告げるだけで、声は情けないぐらいに震えて。
グクの眉が一瞬寄せられたのにすら、なんだか泣けてきて。
JK「…大丈夫です。医者にもそう言われたしさすがに俺も無茶はしないです」
「………私ほんとに、心配で」
JK「……っ、だから、大丈夫ですって」
グクは少し鬱陶しげにそう言ったけど、私はその言葉を信じられなかった。
だってグクは一度舞台に立てば、後先なんて考えずにその公演に全力投球する。
明日のために体力を温存したら今日来てくれた人は100%の自分を見れないから、グクはいつもそう言っていた。
グクのそうやって舞台にいつも全力投球をする姿は確かに見ている人に訴えかけるものがあるし、だからこそ人々の心に響くものがあるのだというのは充分分かっている。
けれど、それを分かっているからこそ、今私は彼のことが心配でたまらないのだ。
「…グクのせいじゃない。だから絶対に自分を責めないで。
………私、泣いてるグクを見たくないの」
そんなことを言いながらも私の頬を濡らす温かいものに、こんなんじゃ全く説得力がないなとか妙に冷静な私がいて。
けれどグクの反応を見るのが怖くて、私は彼と目を合わせることもできない。
JK「………んで」
「え？」
ぽつりと呟いた彼の言葉が聞こえなくて、思わず聞き返せば。
JK「…何で今更そんなこと言うの？」
目の前の彼は眉をギュッと寄せて、まるで涙を堪えているかのような表情をしていた。
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uk(プロフ) - 何度泣いたか分かりません・・・切ないです。。お休み中とのことでしたのでいつか公開されるのを待っています。素敵なお話をありがとうございます！ (2020年10月7日 22時) (
レス) id: 7eeed36c19 (このIDを非表示/違反報告)
ナノカ(プロフ) - hさん» hさんコメントありがとうございます！そんなに感情移入して頂いてるなんてこれ以上ないぐらい嬉しいです（ ; ; ）笑 拙い文章ですがそう言って頂けてもう涙涙です…決めてた結末に向けて頑張って書いていきますね！ありがとうございました(*^^*) (2020年6月3日 13時) (レス) id: 59d638975a (このIDを非表示/違反報告)
ナノカ(プロフ) - Kumiさん» Kumiさんいつもコメントありがとうございます！うわんなんて嬉しいお言葉…どっちとくっついても悔いがないなんて嬉しいです（ ; ; ）頑張って更新していきます！ (2020年6月3日 13時) (レス) id: 59d638975a (このIDを非表示/違反報告)
ナノカ(プロフ) - 夏さん» 夏さんいつもコメントありがとうございます(*^^*)不器用なグクに素直になってほしいものです…！次で完結ですので是非最後でお付き合い頂ければ嬉しいです！ (2020年6月3日 13時) (レス) id: 59d638975a (このIDを非表示/違反報告)
ナノカ(プロフ) - mgnさん» さすがすぎて何も言えませんが一言、愛してますとだけ伝えときます (2020年6月3日 13時) (レス) id: 59d638975a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナノカ
| 作者ホームページ：
作成日時：2020年5月7日 12時
