Break Down ページ50
ジョセフ・ジョースターに隠し子がいる。
SPW財団M県支部はその話題でもちきりだった。
胆石除去や白内障の手術をしたという話を伝え聞いて「ジョースターさんも、もうお歳だなァ〜」なんて言っていた同僚も目を剥いている。
女性社員は仕事も忘れてすっかり女子トークに夢中だ。
奏人自身も呆れながら話を聞いてはいたが、もっぱら「関係ないね」と思っていたため、どこか上の空であった。
「隠し子が杜王町にいる」と聞くまでは。
「まさか空条承太郎･･････さん、が杜王町に来るなんてね」
「奏人、大丈夫か？具合が悪いなら休んでおけ。俺は色々手配してくる」
にじみ出る殺意を何と勘違いしたのか、心配する音無に奏人はいつもの笑顔を見せた。
「直人先輩、僕もう24歳ですよ？体調管理ぐらいできます。あっ、一応顔見知りなんで、空条氏のお出迎えは僕に任せてください」
「そうか。無理はするなよ？」
いつまでも子ども扱いが抜けない音無はすっかり奏人の保護者と化している。
少し、いや、かなり増えた口数に嬉しさを覚えつつ、軽く手を振り合って二人は別れた。
四月。
始まりやスタートをイメージさせる月だ。
まだ暖かいとは言い切れない気温。
観光客のあまりいない道を何となく顔を知っている人々が歩いている。
いつもの、変わらない道だ。
途中の公園のこじんまりとした時計台から鐘の音がした。
そろそろ学生も帰路につき始める時間だろう。
腕時計を確認し、奏人は少し足を早めた。
穏やかな風が頬を撫でる。
前へ。
前へと。
振り返るな。
誰かに押された気がする背中。
資料の詰まった鞄を持ち直し、少しだけ感じた胸の痛みを飲み込んだ。
到着すると同時に船が港に入ってくるのが見える。
連絡通りならあの船に承太郎は乗っているはずだ。
船から降り立つ人々を遠巻きに見ていると、嫌でも目立つ長身の男と、連れだと思われる人影が見えた。
「ペアルック･･････？相変わらず、仲良しなんだね」
あくまでも一般人を装いながら、奏人は白いコートの二人組に近付いていく。
殺意と興奮とちょっぴりの嫉妬。
それから何かが始まる予感。
今日、この時、この場所から。
変わり映えしない、あまりにもありふれた。
何気ない誰かの日常は崩れていく。
これは、僕が。
僕が選んだ世界の話。
誰かの繋ぎなんかじゃない。
僕が前を向くための。
全てを背負っていくための物語。
忘れない。
あの声も、心も。
3.5部〜完〜
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アーディ(プロフ) - くろねこ1227さん» まだ夢主ちゃんもふわっふわな時期でしたからねぇ……2人のすれ違いコントは結構楽しく書いてました。お気に召したなら何よりです！ (1月4日 1時) (
レス) @page15 id: 0218ed2c56 (このIDを非表示/違反報告)
くろねこ1227(プロフ) - 承太郎を心から頼りにしてる夢主ちゃんのノートのなんやかんやにフフッてなった。ガッツポーズする承太郎可愛いな！２人の固い絆を感じるとても好きなシーンです。 (1月4日 0時) (レス) @page9 id: 929310bb43 (このIDを非表示/違反報告)
奇妙な前髪(アーディ)(プロフ) - アオイさん» 一気ですか！読破お疲れ様です！途中でかなり路線変更したので違和感がなかったと言っていただけてありがたい限りです･･･！またしばらく間は開きそうですが、完全停止だけはしないつもりです。応援ありがとうございます。頑張りますね！ (2018年6月21日 6時) (レス) id: 48ec130d60 (このIDを非表示/違反報告)
アオイ - 一から一気に読みました！物語が違和感なく進んでいることや全員生存ルートが無理な形で入っていないところが素晴らしいと思います。ゆっくりで良いので更新頑張ってください!応援しています。 (2018年6月20日 16時) (レス) id: faa73ce9b0 (このIDを非表示/違反報告)
奇妙な前髪(アーディ)(プロフ) - まさか、その、えっと･･････そんな方がいらっしゃるとは思ってなくて･････たまに更新はしますね。頑張ります。ありがとうございます･････ (2018年4月29日 11時) (レス) id: 48ec130d60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：奇妙な前髪 | 作成日時：2018年2月20日 20時
