既視 ページ41
「テレンスさん、ペットショップ知らない？そろそろ餌の時間なんだけど･･････」
「････････････」
餌である肉塊を銀のトレーに乗せた物を手に、奏人は館の門の前にいた。
門自体は閉じられている為外の様子は確認出来ないが、明らかに血の臭いがすることから何者かが館に近付いたことは確かだろう。
そのこと自体はさして珍しいことではない。
誰かが取り落としたものをたまたま門の内側に入れてしまったのか、取ろうとしたところを襲われる、なんてケースはつい数日前にもあったのだ。
だから、今回もそうなのだろうと思っていたのだが･･････。
テレンスのただならぬ空気を感じ取り、奏人は足下にトレーを置いた。
･･････犬の生首。
しゃがんだ時にチラリと見えたそれはきっと、つい数十分前には息をしていたのだろう。
飛び交う小バエを横目に、奏人はヴァニラを呼びに行った。
ペットショップが餌の時間まで待てずに、外の小動物を狩りに行くことはないわけではなかったのだが、このように首だけをここに置いていくなんてことはなかったはずだ。
それに何か意味があるのか？
予感めいたそれにテレンスは頭を悩ませているようだった。
犬の首を消し去るヴァニラを見ても、戻ってきたペットショップを見ても、胸騒ぎは収まらない。
ジョースター一行は明日にでも館に来るのだろうが、その時自分がちゃんと殺せるのか。
それが奏人は心配だった。
人をいたぶることはあっても、命を奪うことまではしなかった彼にとって、それは「人間」でいられる最後の境界線のようなものだ。
殺せば人は鬼になる。
百鬼という苗字ではあるものの、本当の鬼になる勇気はまだ彼にはなかった。
化物として生きる勇気は、まだ。
翌日。
少しずつ一行を分断させ、徐々に数を減らすのが役目だと聞かされながら、奏人はテレンスとヴァニラの背を見ていた。
各々の待機場所への移動中のことである。
ヴァニラは地下。
テレンスは1F。
奏人は2Fで待ち伏せる手筈なのだが、テレンスが自身の能力を「戦闘向きではない」と言っていたのでつい、心配になってしまったのだ。
「勝てますよね･･････？」
立ち止まってポツリと呟いた奏人の方を振り返り、二人は軽く彼の頭を撫でる。
誰一人「勝つ」とは言わなかったが、それは言う必要も無いことだと思っていたからだ。
･･･当然のように勝って、また今までのような日々に戻るのだと、信じていたからだ。
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アーディ(プロフ) - くろねこ1227さん» まだ夢主ちゃんもふわっふわな時期でしたからねぇ……2人のすれ違いコントは結構楽しく書いてました。お気に召したなら何よりです！ (1月4日 1時) (
レス) @page15 id: 0218ed2c56 (このIDを非表示/違反報告)
くろねこ1227(プロフ) - 承太郎を心から頼りにしてる夢主ちゃんのノートのなんやかんやにフフッてなった。ガッツポーズする承太郎可愛いな！２人の固い絆を感じるとても好きなシーンです。 (1月4日 0時) (レス) @page9 id: 929310bb43 (このIDを非表示/違反報告)
奇妙な前髪(アーディ)(プロフ) - アオイさん» 一気ですか！読破お疲れ様です！途中でかなり路線変更したので違和感がなかったと言っていただけてありがたい限りです･･･！またしばらく間は開きそうですが、完全停止だけはしないつもりです。応援ありがとうございます。頑張りますね！ (2018年6月21日 6時) (レス) id: 48ec130d60 (このIDを非表示/違反報告)
アオイ - 一から一気に読みました！物語が違和感なく進んでいることや全員生存ルートが無理な形で入っていないところが素晴らしいと思います。ゆっくりで良いので更新頑張ってください!応援しています。 (2018年6月20日 16時) (レス) id: faa73ce9b0 (このIDを非表示/違反報告)
奇妙な前髪(アーディ)(プロフ) - まさか、その、えっと･･････そんな方がいらっしゃるとは思ってなくて･････たまに更新はしますね。頑張ります。ありがとうございます･････ (2018年4月29日 11時) (レス) id: 48ec130d60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：奇妙な前髪 | 作成日時：2018年2月20日 20時
