一瞬の逃走劇 ページ5
跳んだ。
そう思った時には既に私達の後ろに着地しており、開いたままの扉から颯爽と猫は出ていく。
あまりの素早さに呆然としたが、私達はすぐにその後を追った。
部屋に残ったラバーソールは「いつもは脱走なんてしないのに」と愚痴りつつ、他の財団員と連絡を取っているらしい。
走りながらも私は猫のことを観察した。
数十メートル先を走っては立ち止まり、こちらを振り返ることから彼女の考えはなんとなくわかる。
大方、「遊びたい」ということだろう。
だとすると今やっているのは追いかけっこか。
しかし、時を止められる私達から逃げようというのはかなり無謀な話だ。
と、いっても、止まった時の世界で動けるということを承太郎は知らないわけで。
少しずつ時を止め、あっという間に追いついていく承太郎を私は見ているだけである。
承太郎は本来、四部までの間に時を止めることはなかったような気がするが、こちらの世界では割と頻繁に止めているように思う。
このままいくと停止時間は更に延びるのではなかろうか。
DIOと同じか、いや、それ以上に。
そうなれば原作以上の活躍もしていくことになるだろう。
喜ばしいことだと思う反面、どんどん頼もしくなっていく背中に私はついていけるのか、と少しだけ不安になる。
「捕まえたぜ」
「ニャッ！？」
時が動き出し、猫はいつの間にか持ち上げられていた体をじたばたと動かした。
それも後から追いついた私を見ると大人しくなる。
「さすが承太郎」
いつかのようにしゃがまれたのでよしよししていると、餌やら網やらを持った財団員数名が駆けてきた。
「猫は･･････捕まえたみたいですね。お手数をお掛けしました」
「いえ。ところでこの子を連れて帰りたいという話は」
「存じ上げています。輸送機は必要ないとのことでしたが」
「はい。飛んで帰りますので。この子のお気に入りのおもちゃや、いつも使っている毛布は･･････」
財団員の人と話し込んでいると、何やら視線を感じて振り返る。
やはりというかなんというか、承太郎だった。
学帽に隠れた眉間に少しシワが寄っている。
私は話を早々に切り上げて荷物を受け取ると、承太郎に向き直った。
「ごめんね承太郎。暇だったでしょ？」
「･･････別に」
差し出された手を取り、財団員の人達に礼を言ってから家へと飛んだ。
待っていた母さんへの説明を承太郎に任せ、私は自室へと向かう。
さすがに往復一万キロは重労働であった。
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アーディ(プロフ) - くろねこ1227さん» まだ夢主ちゃんもふわっふわな時期でしたからねぇ……2人のすれ違いコントは結構楽しく書いてました。お気に召したなら何よりです！ (1月4日 1時) (
レス) @page15 id: 0218ed2c56 (このIDを非表示/違反報告)
くろねこ1227(プロフ) - 承太郎を心から頼りにしてる夢主ちゃんのノートのなんやかんやにフフッてなった。ガッツポーズする承太郎可愛いな！２人の固い絆を感じるとても好きなシーンです。 (1月4日 0時) (レス) @page9 id: 929310bb43 (このIDを非表示/違反報告)
奇妙な前髪(アーディ)(プロフ) - アオイさん» 一気ですか！読破お疲れ様です！途中でかなり路線変更したので違和感がなかったと言っていただけてありがたい限りです･･･！またしばらく間は開きそうですが、完全停止だけはしないつもりです。応援ありがとうございます。頑張りますね！ (2018年6月21日 6時) (レス) id: 48ec130d60 (このIDを非表示/違反報告)
アオイ - 一から一気に読みました！物語が違和感なく進んでいることや全員生存ルートが無理な形で入っていないところが素晴らしいと思います。ゆっくりで良いので更新頑張ってください!応援しています。 (2018年6月20日 16時) (レス) id: faa73ce9b0 (このIDを非表示/違反報告)
奇妙な前髪(アーディ)(プロフ) - まさか、その、えっと･･････そんな方がいらっしゃるとは思ってなくて･････たまに更新はしますね。頑張ります。ありがとうございます･････ (2018年4月29日 11時) (レス) id: 48ec130d60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：奇妙な前髪 | 作成日時：2018年2月20日 20時
