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.Aside
嗚咽と涙が止まらない私は
こんなあり得ない状況を、
当たり前のように受け入れてしまった
教師失格なんてものは通り越して
人間失格
「ごめん…もう戻っていいよ、ぶかつ、抜けてきたんでしょ。」
黄瀬「いい、まだ駄目。」
「大丈夫だってば。平気だから、ごめん、こんな事させて。」
黄瀬「全然、大丈夫じゃないから。先生が大丈夫っていう時、大丈夫じゃないじゃん。」
「そんな」
こと、ないってば
私は、駄目なんだってこんな事してちゃ
だけど
行かないでって、全身が言ってる
離さないでって、言ってる。
きもい
ふざけんな
こんな私の傲慢な欲求で
涼太の一生台無しにするわけにいかないのに
頭ではわかってるけど
全然無理だ
「ごめん」
黄瀬「俺がしたいからここにいるんだよ。謝らないで、いいから。」
謝ってないと、いられない
あんなに頑張って突き放したのに
結局、またここに戻ってきた
最低だ最低のクズ
私は涼太を、幸せにすることはできないのに
黄瀬「何も考えないで、俺だけの先生でいて。今だけでいい、忘れてって言うなら忘れる。離れてって言ったら離れる。今だけで、いいから。忘れるから。」
おねがいだから、
そんなことをいわないで
ずるいこと、いわないで
私の中の少しの理性がぷっつり切れる前に
逃げてほしい
とおくにいってほしい
そばにいたら、もう離れられなくなる
「ずるい」
黄瀬「ずるくても何でも、いいよ。」
頭が溶けそうなくらいの
甘くて苦いキス
あの時よりもっと上手になっていて
いつの間にか成長していて
なんだこれ、駄目だ
つきはなさなきゃ、駄目、でしょ
もう少しだけ残ってた理性で
涼太の首を掴んで唇を離した
「誰かに、見られる、落ち着いて、お願い。」
落ち着かなきゃいけないのは私だ
黄瀬「ごめん、子供で。」
「大丈夫、もう本当に、私戻るから。」
授業プリント、今日中に作らなきゃ
うん、まだ目赤いし、水滴とかついてるし
あとなんか、頭グラグラしてるし
本当にそう、やばい
私、顔とか、どうなってんのかな
なんか、だらしない顔になってないよね
久しぶりに、青に触れた
なんか私の青春
多分、人生最後の青春
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作者名:黄瀬しか勝たん | 作成日時:2020年10月11日 4時