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先生、そんなに絞めたら死んじゃうよ。いいの?
いいのか、代わりは沢山いるのかな。
痛い、痛いことが幸せ
痛いのに、どうして痛みを求め続けてしまうのか
もうでもおしまいにする
私の首を握る手を、突き放した
「せ…んせい、もう…やめる、これでおしまいにしてください、これまでの全部。」
赤司先生は
しばらくしてから
そんな私を嘲笑うような顔をして
口を開いた
赤司「黛先生に、何か言われたのか?」
なんで分かるの
赤司「お前の大好きな黛先生の、大切な秘密を教えてあげようか?」
「…どういう事ですか、どうしてそんな事」
赤司「黛先生は2年前に結婚してる。」
「……そうだったら、何なんですか何も私には関係ありません。」
赤司「その相手は、僕だ。」
「………は…
頭が真っ白になって
耳鳴りがした
声が出なかった
お願いだから
誰か嘘だと言って欲しい
赤司「可哀想に、このまま殺してあげようか?」
赤司先生はゆっくり首に手をかけて
今までにないくらい力強く私の首を握りしめた
私はとうとう殺されるのかもしれない
それはそれでもういい
私はもうきっと生きてはいけないから
頭がぼーっとして
頭の中と身体中が熱くなる
現実と夢の境目にいて
浮ついた感覚と死の恐怖とがごちゃ混ぜで
私にはこれが幸せで
でもこの幸せは
誰かの不幸せの上に成り立っていて
それは私の大切な
大切で心の支えだった人なんて
そんなことすら忘れられた
「A…何…してんの…」
ドアが思い切り開いた音がして
私の歪んだ視界が友達の顔を映した
一瞬で現実に引き戻された
身体が固まって
どうすればいいか分からずに
ただただ見つめていた
赤司先生は舌打ちをして
ゆっくり外へ出て行った
友達としばらく見つめあっていたけれど
私をゴミでも見るかのような目をして
何も言わず立ち去った
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作者名:黄瀬しか勝たん | 作成日時:2020年10月11日 4時