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な「……ねぇ、ほとけっち。」

ほ「なに〜?」


ないこは緊張したような声を出す。

しかしそれとは反対に、ほとけは呑気な声を出した。


な「え、っと……最近さ! しょーちゃんとよく一緒にいるよね! なんかあった?」


ほとけはその言葉に、

スッと目線を逸らすないこのことなど気にせずにっこりと笑う。


ほ「まぁ! 僕としょーちゃん仲良いからね! いむしょー最強だし!」


にししと笑うほとけは、ないこの目にはどう映っているのだろうか。

しかし、今のほとけをないこが疑っていることは確かだった。


な「ほんとに? 変なこととか、あったりしないの?」

ほ「変なことってー?」

な「ぇあ、その、えっと……。」


ずっと笑い続けるほとけに、ないこは次第に恐怖を感じ始める。

本当に、このまま踏み込んでいいのだろうか?

俺のことをしてることは間違ってるんじゃないか?

ないこの感情が渦巻く中、ほとけは未だなおニコニコと笑みを浮かべている。


ほ「ってか、いふくん待ってるよね? イルカショーも始まっちゃうよ? 行こ?」

な「あ、う、ん……。」


しかしないこは、歩き始めるほとけを追いかける足をふと止める。

……このまままた、見て見ぬ振りをするのか?

また前の自分に戻るのか?

折角、気の所為じゃないって自分で考えて、一歩踏み出したのに?







…………そんなの、嫌だ。







踏み出すって決めたんだ、俺は。


な「待ってほとけっち!」


俺は、その背中に声をかける。

怖い、でも、このまま前に戻る方がよっぽど怖い。


ほ「もぉ、何? どーしたの?」


笑顔で振り返るほとけに、ないこは声を張る。

な「俺はどんなほとけっちでも受け入れるからッ!」

ほ「……。」

な「だから、話して、ほしい……!」


スッ、と顔から一瞬で笑みが消えたほとけ。

水に反射された光が顔に当たり、ほとけの顔はまるで人形のように美しかった。

しかしその瞳にはハイライトがなく、

それが薄暗いからなのか、はたまたそうでないのか。

それは今のないこには考える余裕などなかった。


ほ「……そっか。 アレ、やっぱバレちゃったか。」


ふっと諦めたように微笑むほとけ。

その時ないこが真っ先に思ったことは、








“美しい”








その言葉だった。

触れれば壊れてしまいそうで、でもそこにちゃんと存在していて。

でも手が届きそうで届かない。

あぁ、なんて

なんて美しく儚いのだろうか。

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ぽあ - ひーいれりすさん» 好きと言っていただけて嬉しいです、! ほしいですよねぇ(((え (2023年3月15日 19時) (レス) id: 311b6cd232 (このIDを非表示/違反報告)
ひーいれりす - お話まじで好きですちょータイプです!こんなメンバーほしいなぁ(((え (2023年3月12日 1時) (レス) @page24 id: 166743b295 (このIDを非表示/違反報告)
ぽあ - あおさん» わかります……、歪んでるってかもう壊れるまで行くのが好きです(( (2023年1月28日 20時) (レス) id: 311b6cd232 (このIDを非表示/違反報告)
あお - 歪んだ愛モノ?かなり好きなんですよね…(ゑ (2023年1月10日 23時) (レス) @page24 id: 6422e385c4 (このIDを非表示/違反報告)
ぽあ - 伊織さん» ちょっと壊れた愛情っていいですよね〜((ゑ⁇ コメントありがとうございます! (2022年10月9日 9時) (レス) id: 5c50eca30a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぽあ | 作成日時:2022年10月7日 20時

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