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「で、できた…」
「なんとか形になったわね」
「30分かかったけどな」
4人の目の前には、凹凸と変色が目立つ不格好にカットされた皿に乗せられたリンゴがあった。
酷く疲弊した虎杖が涙を溢しながら両手を打ち鳴らす。
その顔はどこか達成感に満ち溢れていた。
「本当に…よくぞここまで…」
「涙拭けよ」
彼の労力に同情した伏黒がそっと虎杖にハンカチを差し出した。
「自分でリンゴ切ったのなんて初めて。教えてくれてありがとう悠仁くん」
「どういたしまして!でも今後絶対一人の時に包丁握らないでね。絶対誰かと一緒に握ってね」
血気迫る様子で釘を刺す虎杖にAは思わず無意識に頷いた。
不格好なリンゴを4人で咀嚼する。
「先輩が剥いてくれたリンゴめっちゃ美味いな!!」
「ええ、美味しいわAさん」
「…美味いっす」
Aの努力を称賛する言葉が口々に紡がれる。
30分かけてリンゴを剥いたAの手にはおびただしい数の絆創膏が貼られている。
Aは満足そうにその絆創膏を見つめ、嬉しそうに頬を赤く染めながら笑みを浮かべた。
***
《おまけ》
リンゴを切っている途中の虎杖とAの会話
「悠仁君は将来いいお嫁さんになるね」
「お婿さんじゃなくて?????」
〜END〜
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作者名:にる | 作成日時:2021年4月1日 14時