40話 ページ40
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解呪方法さえわかれば、あとは実行するのみ。
五条が言った手順通りに一瞬で施した。
「7年も待たせてごめんなさい。」
萩くん、そして松田陣平。
2人に向けて言伝を残し、その場から立ち去る。
目覚めた萩くんに彼の身に起きたことを上手く説明できる自信がないから私は逃げるんだ。
百鬼夜行のあの日に酷似する、五条と無言で歩くこの空気感。
「…泣くなよ。」
「別に泣いてない。
私が救うべき人だから救った。それだけ。」
「なら泣くな。Aは悪くない。」
涙は流れていないのに五条は変だ。
それでも、きっぱりと言い切った。泣くなって。
教師らしくないとずっと思っていたし、教師になるなんて言い出したときは天地がひっくり返るかと思った。
だけど、案外、五条は教師に向いているのかもしれない。
人の心の内を指摘できてしまうほどには。
そして私も、その五条に絆されてつい口に出してしまう。
「…こわい。私、天与呪縛が怖い。
自分の知らないところで、人を傷つけているかもしれない。
私は…大切な人を守れるような力が欲しくて呪術師になったはずなのに、守るどころか傷つける。」
慰められることを嫌う私を知ってか、知らぬか、五条は聞くだけだった。
長い付き合いだし、まあ、察してくれる部分をあったのかもしれない。
そんな気持ちが芽生えたのを、こいつはいとも簡単にぶち壊した。
「そうだ、A。
僕の生徒たちを交流会へ向けて特訓してやって。
僕、こう見えても忙しいからさー!」
先程まで、私が胸の内を吐露したその雰囲気を返せ。
五条のクソさ加減をすっかり忘れていた私に非があるなんて、誰にも言わせない。
言わせてたまるか。
「忙しいのは私もなんだけど!!
米花町の任務だってあるし。それに虎杖くんの教育係を頼んだのは五条でしょ。」
「しばらく僕が米花町の任務は引き継ぐ。
悠仁の方は七海に任せればいいから。」
意図がわからない。
五条が進んで任務に行くはずないし。
…………。
そういうことか。
あの日から、五条は1人で最強なんだった。
米花町で、夏油への手がかりを探すために任務を変わるとか言い出したのか。
また1人で、夏油に蹴りを付けようとしてるんだ。
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銀華(プロフ) - ryeさん» 教えていただきありがとうございます🙇♂️入力ミスです。訂正させていただきます。 (2022年7月5日 13時) (レス) id: 8ce225486e (このIDを非表示/違反報告)
銀華(プロフ) - 美月さん» コメントありがとうございます。警察学校時代のお話は番外編か、本編の後々に書けたら良いなと思っております。少しお時間頂戴してしまうかもしれませんが、楽しみにして頂けたら幸いです☺️ (2022年7月5日 13時) (レス) id: 8ce225486e (このIDを非表示/違反報告)
rye(プロフ) - 9話の降谷さんの所属、警察庁が警視庁になってます。 (2022年7月5日 10時) (レス) @page9 id: 6f680e21b1 (このIDを非表示/違反報告)
美月 - めっちゃ面白い!この小説の面白さを伝えるためにコメント欄に登場しました!警察学校組との絡みができてきたので、警察学校時代の物語も知りたいです! (2022年7月2日 9時) (レス) @page37 id: c0ec2f5f77 (このIDを非表示/違反報告)
銀華(プロフ) - 悠華さん» コメントありがとうございます。警察学校組とはあと2、3話くらいで少し絡みをもたせることができるかな~と考えております!もう少しお待ちいただけると幸いです🙇♂️ (2022年6月23日 15時) (レス) id: 8ce225486e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:銀華 | 作成日時:2021年12月24日 0時