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《 Jungkook 》









どうしたら、彼女を手に入れられるだろうか。









先ほどから頭の中をぐるぐると同じ考えだけが堂々巡りしている。









彼の足枷になっていたのは俺の何気ない一言だった。









たったその一言で彼らの仲はここまで拗れたのだ。









ならば、それを利用して彼女を手に入れられないだろうか。









今から俺がしようとしていることは、はっきり言って姑息な手段だ。









でも、もう手段なんて選んでいられない。









どんなにかっこ悪くても、卑怯でもいいから。









悪いけど簡単に仲直りなんてさせてやれない。









「あ、ジョングクおかえり。Aは?」









荷物を片付けて帰社しようとしていたジンさんとユンギ先輩が一人会議室に戻ってきた俺を見て言う。









俺はユンギ先輩に歩み寄って、彼が抱えていた資料の束をもらった。









「ユンギ先輩、A先輩が戻るまで待っててくれませんか。俺とジンさんで先に戻って本社の方に報告しておくので」

「は?なんで俺?」

「ユンギ先輩にしか頼めないじゃないですか、こういうの」

「…何それどういう意味?」









怪訝そうに眉をひそめるジンさんに目で合図を送って、またユンギ先輩を見る。









彼は少し黙ってからため息をつきながら頭を搔いた。









「わーったよ」









いかにもしぶしぶといった表情のユンギ先輩を置いて、俺とジンさんで先に帰社する。









あとは適当に理由をつけて一人になると、誰もいない会議室に身を滑り込ませた。









しんと静まり返った室内で携帯を耳に当てる。









数コール流れた後に電話口から聞こえてきたのは、いかにも不機嫌そうな低い声だった。









「…何」

「ヒョン、話したいことがあるんです。今日の仕事が終わったら会えませんか」

「奇遇だね、俺もだよ。でも今日は無理」

「Aヌナに会うんですか?」

「…だったら何」

「だったら、俺の話はヌナに会う前に聞いておいた方がいいです。じゃないと、ヒョンはヌナを傷つけることになるから」

「元からそれは覚悟してる」









彼の声はもう心を決めたような飄々とした声だった。









それを聞いて、これ以上回りくどい話で誤魔化すのは無理だと悟る。









ついに俺も、テヒョンさんも、お互いにけじめをつける時が来たのだ。









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のあ - とてもおもしろいです、続き待ってます! (2019年9月11日 7時) (レス) id: 87b0b31a0f (このIDを非表示/違反報告)
ミア - すごく面白い展開になってて続きが楽しみです! これからも読ませていただきます!! (2019年7月25日 17時) (レス) id: 73144b7ec3 (このIDを非表示/違反報告)
ミア - とてもお気に入りです!! 迷惑かもしれませんが続きお願いします! (2019年7月20日 19時) (レス) id: 73144b7ec3 (このIDを非表示/違反報告)
たまたま - 三角関係ぽい小説、今まであまり好きじゃなかったけど、このお話は凄く続きが気になります!更新頑張ってください! (2019年7月17日 21時) (レス) id: 11b0bd599c (このIDを非表示/違反報告)
のあ - 主人公ちゃん、自惚れちゃっていいんですよね!!!!!?テヒョン、、頑張れ!! (2019年7月17日 8時) (レス) id: d2b1c04faa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:kasu | 作成日時:2019年6月30日 17時

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