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「…A起きて」

『ん…』









ゆさゆさと体を揺さぶられて目を覚ますと、ベッドサイドの間接照明に顔を照らされたテヒョンと目が合った。









『今何時…?』

「もう9時だよ」

『えっ、朝の?』

「夜の」









テヒョンの言葉に驚いて飛び起きる。









しかし、時計の針はしっかりと午後9時を指していた。









『やばい仕事…!』

「会社にはとりあえず体調不良ってことで連絡しといた。さすがに無断欠勤はまずいと思って」

『な…何を勝手に…』








そこまで言いかけて、私は空気が抜けた風船のようにその場にへなへなと座り込んだ。









「ま、まあ、たまにはいいじゃん。こうやって休むのも…」

『よくないよ!』









今はテヒョンの呑気さが癪に障る。









強引なところも、自分勝手なところも。









『どうしてテヒョンはいつも自分のことばっかり…』









言うはずのなかった言葉がついこぼれてしまう。









『テヒョンは私のこと何だと思ってるの…?』

「……」









言った直後からひどく後悔した。









こんなことを言うような痛い女にだけはなりたくなかったのに。









私たちの間にあたりまえのように横たわる沈黙が痛かった。








やっぱりなんでもない、と口を開きかけたその時、耳を疑うような彼の言葉が私を遮った。









「好きだよ」

『…え?』









不覚にも声がうわずった。心臓が大きく波打った。









「Aのことが好き」









テヒョンが私の体を抱き寄せる。









全身に彼の温かい体温を感じた。









「…だからどこにも行かないで」









耳元で聞こえた彼の声はどこか自信なさげで、余計に私を戸惑わせた。









私、自惚れてもいいのかな。









他の人とは違うって思ってもいいのかな。









私はそっと手を伸ばして、彼の頭を優しく撫でた。









胸の中に愛おしさが溢れる。









やっぱり私はテヒョンから離れられない。









ううん、離れたくないの。









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のあ - とてもおもしろいです、続き待ってます! (2019年9月11日 7時) (レス) id: 87b0b31a0f (このIDを非表示/違反報告)
ミア - すごく面白い展開になってて続きが楽しみです! これからも読ませていただきます!! (2019年7月25日 17時) (レス) id: 73144b7ec3 (このIDを非表示/違反報告)
ミア - とてもお気に入りです!! 迷惑かもしれませんが続きお願いします! (2019年7月20日 19時) (レス) id: 73144b7ec3 (このIDを非表示/違反報告)
たまたま - 三角関係ぽい小説、今まであまり好きじゃなかったけど、このお話は凄く続きが気になります!更新頑張ってください! (2019年7月17日 21時) (レス) id: 11b0bd599c (このIDを非表示/違反報告)
のあ - 主人公ちゃん、自惚れちゃっていいんですよね!!!!!?テヒョン、、頑張れ!! (2019年7月17日 8時) (レス) id: d2b1c04faa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:kasu | 作成日時:2019年6月30日 17時

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