それでも、君と一緒に (ページ26)

今日:71 hit、昨日:32 hit、合計:72,772 hit

〇ページ26

お昼のそんな一件から、祥生が片時も離れてくれなくなった。
授業中は別のクラスだから仕方がないけど、授業の合間の休憩にまで顔を出してくる。午後の授業が終わったかと思えば、いつもの倍のスピードで私のことを迎えに来た。

「そんな警戒しなくていいのに」
「あかん、Aにまたなんかあったらいややもん」

私に触れるもの全てに威嚇をかましそうな勢い。
その過保護っぷりに思わず吹き出しそうになったけど、ちょっと申し訳なくなって心の中に留めた。

いつもだったら帰り道寄り道するけど、今日はのんびりしよう、てことでコンビニで食料調達してからまっすぐ家に帰宅。

家に着いてからは2人でゲームしたり、買ってきたお菓子食べたり、漫画読んで駄弁ったり。
結局いつも通り2人でいる時間が楽しく過ぎていく。

やっぱり、何を言われても何を思われていても祥生は大事な友達で、祥生と居る時間は何事にも変え難いものがある。

真剣に漫画読んでいる祥生の横顔を見てそんな事を考えていた。

でも、例えば高校卒業して別々の学校に行ったり、仕事でどっか違う場所に住まなくちゃいけなくなったり、いつか私にも祥生にも大事な人が出来たら、こうやって2人で過ごす時間は無くなっちゃうんだろうな、って。ただの仲がいい友達だから、ワガママを言う資格がないって自分でも分かってるのに。

そんなの嫌だな、
そんな気持ちで胸がいっぱいになった辺りで、鼻の奥がツンとなって、気を抜くと涙がこぼれる所まで来ていた。
慌てて涙を拭こうとすると、さっきまで漫画を読んでいた祥生が不安そうな顔で私の顔を覗こんでいた。

「どうしたん？なんか他に酷い事されたん？」
「ちゃう、あれ、おっかしいなぁ...」
「とりあえず深呼吸しよ、な。」

優しく包まれた今日2回目の祥生の腕の中はあったかくて、隠すはずだった涙は尚更止まらなくなった。
祥生はなんにも聞かずに背中をさすってくれた。