結婚 28 ページ28
俺は昼休みに入っても自分の席から動こうとはしなかった。
「有岡、有岡！有岡大貴！！」
「うおっ！はい！はい！有岡です！って、山田かよ」
今、一番会いたくないやつ。
ほんと今は一人がいい。
人といると、その人を傷つけそうで怖い。
「なんだよ？山田」
「大事な…話があるんだ」
「大事な話？」
「新聞記事のことだ」
山田の真剣な顔つきから冗談ではないなと察した。
「まず、最初にいっておく。
俺とAは何もない。
Aが手を出したわけじゃない。
俺の方から責めた。」
「は？意味わかんね、なにいってんの？」
恨むような気持ちも含めて憎まれ口をたたいた。
だが、山田はそんなことは気にせず話を進めた。
「すまない、揺れるかと思って責めた。俺の自覚が足りなかったせいだ。
でもAは揺るがなかった。
強かった。芯をもっていた。」
「なにが、いいたいわけ？」
「Aを責めないでほしい。
Aは何も悪くない。
大貴、お前だけでも寄り添ってやれ。
お前しかできない。
俺はしたくてもできない。
大貴にしかできないことだ。
Aも大貴が寄り添ってくれれば自信がつく。
今、Aは学校をでた。
家には帰らないと思う。
探してやれ、
これが俺からの願いだ」
俺は荷物をまとめて教室のドアの方に向かって歩き始めた
「山田のたのみなんてきかねぇーよ」
「…なに？」
「Aのためにいくんだ。
なーんてな。
へへっ、かっこいいだろー？」
いつものように笑って
教室をでた。
「大貴、Aを頼む」
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作者名：夢 x他1人 | 作成日時：2017年11月20日 23時
