想か ページ4
あの日から二カ月。
坂田は何の部活にも入らず、私達は毎日のように一緒に帰った。学校では断るけど、信号の所で鉢合わせして別れる。信号の待ち時間に他愛も無い話をする。この時の感覚が何とも言えなくて、出来るだけ会わないようにしても向こうから来る。
速歩きで真っ先に帰ろうとしても某ハンターの如く真顔で追いかけてくるし、向こうが帰った後に帰っても待ち構えられている。そろそろ飽きるんじゃないかと思っているけど、今日も出くわした。
「なー、明日何の日か知らん?」
後ろから話しかけられるのも、もう慣れた。
「知らない」
こんな素っ気ない返しも、二カ月あれば慣れるらしい。最初は私の言動にいちいち落ち込んで鬱陶しいと思っていたけど、今じゃ受け流される。
「12月5日ってなんかあったっけ」
「え? 知らん」
聞いてて知らないのか、というツッコミはしない。大した返事は返ってこないだろうから。
「バイバイ!」
「うん」
___________
「坂田、誕生日おめでとう!」
「あ、ありがと〜!!」
「……え」
昨日のあの会話はそういう事だったのか。
知る訳ないと思いたかったけど、転校初日、坂田は確かに言っていた事を思い出した。
同級生からプレゼントを受け取る坂田を見て、用意すればあんな幸せそうな顔を自分の手でさせられたんだろうか、と今思ってもしょうがない事を考えていた。
……今からでも何か出来ないか。
どうしてそこまでプレゼントしたいのかよく分からないまま、夢中で思案に暮れた。
___________
「はあ……」
恐らく今世紀最大のため息が出た。
何も思い付かない。いや、1つだけ思い付いたけど、それはかなり可能性が低くて、失敗すれば、違えば辛く悲しい誕生日にしてしまう。
でも、それでも、何かしたい。
こんな可能性の低い賭けに出るなんて、前はしなかったはずなのに。
自惚れる事もなかったのに。
……責任取ってもらうからな。
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ちょこ - とてもよかったです!その後話が欲しい! (2021年9月26日 13時) (レス) @page6 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ポップけーき | 作者ホームページ:誕生日おめでとうございます。
作成日時:2019年12月1日 20時