人生ゲーム ~異次元からの旅人~

色の変化 ページ37

「…それで。」
「ああ、説明しよう。これが何なのか。」



家に帰る頃にはすっかり日が登り、暑くなっていた。
ジリジリと焼ける日を浴びて、エフィルはAに早く起こしてくれたことを感謝した。

家までなんの障害もなくたどり着き、裏戸を開けて、中へ入る。
風通しがいいこの家は、まだ涼しい。

そこらへんにあった座布団に座り、二人で向き合う。

Aが、手をひらく。
美しい金属は、そこにあった。

「見たことないわ、こんな物。」

うっとりと、一目惚れした様な表情で言う。
手の上で転がすと、色が次々に変わって見える。


「綺麗だろう、これは、色の波長によって光の反射の仕方が変わるからなんだ。」

分からない、という表情のAに説明をする。


「いいか、色は光の波長によって変わる。大きく分けて三つ。波長が長いのと、短いのと、中くらい。ここまでは分かるよな？」

Aは、こくんと頷いた。

「人の目では長い波長は赤、短いのは青、中くらいのは緑に見える。」

「あ、光の三原色ね。」

「そう。そして、光は物体にぶつかると、反射したり吸収されたりする。例えば、熟れたリンゴは短い波長と中くらいのを吸収し、長いのは反射する性質がある。」

「だから赤く見える、と。物体によって、反射する波長と吸収する波長が違うのね。」

「ああ、そうだ。」

満足げにエフィルは頷いた。
成る程、賢い。
流石電子チップ入りチート頭脳。

「それで、なぜこの物体は色んな色に見えるのかしら。」

「それは、これが特殊に作られているから。決まった角度に決まった光を入れれば、決まった色がでる。つまり、角度によって、見える波長が変わる。」



一度エフィルは言葉を切り、部品を見つめる。

「…これは、波長を分解する為の物なんだ。」



「何と無くわかったけれど…あんまりわかんない。」


Aの浅い知識でまとめると、

色は光の波長によって変わる。
この部品は、見る角度によって色が変わる。
これは、部品が波長を大幅に分解して、見る角度によって見える波長が変わるから。


「やっぱり分からない。でも、面白い。」

知識欲が湧いてくる。

「そうか？まあ、確かにこの金属でできた部品は特殊だが…」

分からないからこそ、楽しいんじゃないの。


「それで、これは何なのかしら。」

「あー、そうだな、この事を踏まえて、説明しよう。」


エフィルはゴホン、と咳払いをした。

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