もどかしい ページ12
常識を超えた推論は、合っているのか分からない。
でも、合っていても合っていなくてもお前がここにいるという事実は変わらない。
その事実さえあれば、私には十分すぎる。
ーーーーーーー
本当に分からない。
信じられない。
信じるべきであるのに、信じられない自分がもどかしい。
「お、もうそろそろ体が落ち着いてきたな。」
体がある程度自由になったエフィルは、腕を振って喜んでいる。
「…疑って、悪かったわね。」
「お?」
小さく聞こえないように呟いたつもりが、どうやら聞こえてしまったようだ。
「何でもない。」
「おいおい、謝罪を取り消すなよ。」
そう言って、彼は笑って返してくる。
そんな彼に、私は大きくわざとらしく溜息を着いた。
「幸せが逃げるぞ。」
「あなたのせいで、幸せなんて吹き飛んでしまったわ。」
これ以上こいつの話し相手になっていると疲れる。
そう判断した私は、彼に何も言わずに部屋から出て行った。
その彼が、こちらを神妙な顔つきで見つめて居たことに気づかずに。
ーーーーーーーーーーーーー
「っと、とりあえずは完成っと。」
信じることはまだ出来ないが、とりあえず問題のあるような人ではないため、ご飯でも作ってもてなそうと思う。
まあ、いきなり自白剤じみた物を飲ませたこちらも随分悪いとは思っているのだが。
「こんなド田舎だし、良く熊なんかに襲われなかったねえ。」
見渡す限り、山、山、山。
危険な動物だって沢山いる。
襲われなかったのは運が良かったとしか言いようがない。
「お隣さんの作物も熊にやられたんだっけな。本当怖い。」
出来た味噌汁を器用にお椀に注ぐ。
女の子たるもの、味噌汁くらい料理出来ねば!
「よいしょっと。」
自分の分も含めた味噌汁を二つ分、お盆に乗せて運ぶ。
こぼさないように、ゆっくりと足を運びながら、Aはこれからの事をぼんやりと考えていた。
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四夜(本物) - 完全に黒歴史で恥ずかしい、うらつく頼むからログインさせて (2019年7月23日 21時) (レス) id: dfaad9320b (このIDを非表示/違反報告)
妙子(プロフ) - 四夜さん» 冷静な分析出来る子なのに、大事な場面で音出しちゃうって可愛い存在だよねクモノコ♪ (2014年7月16日 8時) (レス) id: 30085790ce (このIDを非表示/違反報告)
四夜(プロフ) - 続編続きました。これからもよろしくお願いします。 (2014年7月9日 15時) (レス) id: 052d738e23 (このIDを非表示/違反報告)
四夜(プロフ) - 妙子さん» 普通、トリップを実際にしたらもっと混乱しそうですけどね…クモノコは私のお気に入りですw (2014年6月19日 15時) (レス) id: 052d738e23 (このIDを非表示/違反報告)
妙子(プロフ) - お互いに疑問があり過ぎて不安が勝つ(・_・;)クモノコが導いてくれるといいけどね (2014年6月19日 8時) (レス) id: 30085790ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:四夜 | 作成日時:2013年12月4日 16時