優しい世界［3］ (ページ1)

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偏頭痛 / 黒ページ1

Hokuto side

「あーっ…やべぇ、」

空を見上げればどんよりとした曇り空。

朝起きた瞬間から頭が重い感覚はしていた。
とりあえず市販の頭痛薬を飲んで対処したけど、空気の悪い電車に揺られて、追い討ちをかけるように頭痛は酷さを増した。

目的の駅についてスタジオを目指す。

どうにか今日1日、乗り切らないと。
偏頭痛持ち、本当に厄介だ…

「…と、…くと、ねぇ、北斗？」

「ん？あぁ慎太郎、おつかれ」

「もー全然気づかないんだもん、無視されてんのかと思った」

「ごめんごめん、ぼーっと歩いてた笑」

スタジオの入り口で慎太郎と出会って、そこからは一緒に控え室に向かった。

ガンガンと頭に響く痛みをなんとか誤魔化そうと必死で、延々と喋り続ける慎太郎の話がいつも以上に頭に入ってこない。

「…北斗？体調悪いの？もしかして、」

人のことよく見てるやつだから、しばらくしてそんな風に心配された。

「そんなことないよ。ふつう普通、」

「そっか、…ならいいんだけど、」

正直察しのいい慎太郎を誤魔化せられた自信はないけど、俺の触れるなオーラを汲み取って、それ以上追求してくる事はなかった。

今日は大型の音楽番組。

リハから始まり、1日がかりだ。

下っ端の俺らはリハの時間も早い時間に設定されていて、控室で落ち着いたと思ったら割とすぐにリハの順番が回ってきた。

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