優しい世界 (ページ39)

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Hokuto side

「…嫌だっ嫌だ…こわいっ…」

「慎太郎！慎太郎？もう大丈夫。避難できたから。」

外に出てきて、石段のようなところに慎太郎を座らせて、声をかけ続ける。

外から見えるくらいには煙も上がっていて、消防車もきて消火活動している。

随分大きな火事だったようで。

俺も皆もきっと怖さを感じただろうけど、慎太郎がこんなにも怯えているのを見たことがなかった。

「はぁ…ごめん皆…どうしちゃったんだろう、俺…」

落ち着いてきた慎太郎がぽつぽつと話し出す。

「…さっき、避難しようとして、…炎見たら、昔の火事のことが一気に頭に巡って…怖くなってっ…力抜けちゃってっ…ﾊｧｯ…」

「大丈夫。ゆっくりでいいんだよ。」

京本が背中をさすった。

「…もう何ともないと思ってたんだけどなっﾊﾊｯ…」

力なく笑顔を見せた慎太郎。

「良かった。皆無事で。大丈夫だよ。慎太郎は1人じゃないから」

ジェシーがそう言ってそっと抱きしめた。

結局今日は撮影も中止で、そのまま帰宅となった。

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