PTSD / 緑 ページ36
リアル設定
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Shintaro side
「皆さんそろそろ準備のほうお願いしまーす」
「はーい了解でーす」
ファッション誌の撮影。
6人それぞれの衣装に控え室で着替える。
着てきた服を脱いで半裸の状態で、無意識に自分の脇腹に広がる火傷の跡をさすっていたらしい。
「痛むの？」
隣で着替えをしていたきょもにそう言われて、初めてそのことに気づく。
「あー、いや、痛くはないよ？
寒くなってきたからちょっとつっぱる感じしてさ、」
「そっか、」
きょもはそれだけ言って、優しく火傷の跡を撫でてくれた。
「フハッありがときょも。
まぁ大丈夫よ！モリはいつでも絶好調！」
「うっわびっくりした慎太郎いきなり声でけえよ！笑」
少し遠くから樹のそんな声が響く。
裸であれば一目で分かってしまうほど大きく広がる脇腹の火傷の跡。
まだ俺が幼稚園生だった頃、火事に巻き込まれて負ったもの。
当時の詳しい記憶はあまり無いけれど、それでもあの時見た煙や炎やその場の雰囲気を忘れることはない。
俺の跡を見て、気持ち悪がったり離れていった人達も多くて、ずっと隠していた。
でも仕事柄、着替えも多くて隠し通すことは不可能で。
メンバーに火事のことを話して火傷の跡を初めて見せた時、優しく受け止めてくれたことに本当に救われた。
慎太郎は慎太郎じゃんって。
服を脱ぐ仕事は出来ないし、コンプレックスなのは拭えないけど、皆の前でなら、俺は普通でいられるんだ。
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作者名：じんべえ
| 作成日時：2019年11月24日 9時
