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Yugo side
病院に着いて、案内された場所にはベッドに横たわった樹がいて。
酸素マスクをつけて、腕や体はギプスか何かで固定されてて。
言葉が出なかった。
「…あの、樹になにが…」
「こちらへどうぞ、」
看護師さんに案内された部屋にはお医者さんが座っていた。
「高地さんですか？」
「はい、樹の兄です」
「早速説明させていただきますね、
樹さんはバイクで事故に遭われてこちらへ運ばれてきました。
救急車を呼んでくださった方が事故の瞬間を見ていたそうで、樹さんはマンホールでスリップして転ばれたとのことでした。昼間は雨が降っていましたからね、その影響でしょう。」
「…要は1人で事故ったと、」
「そういうことになりますね、」
「あの、それで…怪我は、」
「命に別状はありません。
左腕を骨折していたので、手術を済ませてギプスで固定してあります。
樹さんはまだお若いので回復も早いでしょうし、2ヶ月ほどで治るでしょう」
「…良かった…」
「ここから、よく聞いていただきたいのですが、こちらをご覧ください。」
そう言ってレントゲンの写真を見せられた。
「これが首から腰へと繋がっている背骨なのですが、この部分、形が不自然なのが分かりますか？」
「…はい、」
「事故の衝撃で、ここも骨折してしまっているんです。」
「背骨を骨折…」
「はい。そして、この中心を走っているのが脊髄というもので、脳からの指令はここを通って各部位に伝わっているんです。
その脊髄が、骨折して不自然に曲がったことでその骨に圧迫されて傷ついてしまっているんです。」
「…はぁ、」
「高地さん、弟さんはもう、自分の足で歩けることはないでしょう。車イスでの生活となります。」
頭が真っ白になった。
難しい言葉の連続の中で、衝撃的な言葉だった。
「え、？」
「一度傷ついた神経は元に戻ることは無いのです。
樹さんの場合はおへそからしたが完全に麻痺した状態です。」
「…そんな、、」
「驚かせてしまってすみません。
ゆっくりと噛み砕いていただけたら、と思います。
こちら脊髄損傷に関する資料になってます。
一度目を通されると見えてくることもあるかも知れません。」
「…すみません、ありがとうございます。失礼します」
なにも考えられなくて、とにかくもらった資料を手に部屋を出た。
樹の元に戻る気にもなれなくて、車に戻った。
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作者名：じんべえ
| 作成日時：2019年11月24日 9時
